第1部 嗅覚IoTセンサシステムの要素技術開発と産学官連携
(2018年3月15日 10:30〜12:10)
五感のなかで、最もデバイス化が遅れているのが「嗅覚」です。人工嗅覚の実現を難しくしている大きな要因が、その測定対象である「ニオイ」の複雑さです。「ニオイ」とは、40万種類以上といわれる各成分が、任意の割合で数種から数千種混ざり合って形成されるものであり、さらにこれが時間的にも空間的にも絶えず揺らぎ続けます。この捉えどころの無い「ニオイ」を測り、人間が理解できる情報に変換する人工嗅覚の実現は、最高難度の科学技術課題のひとつといえます。
本講座では、モバイルやIoTを前提とした人工嗅覚の実現に必要とされる要素を網羅した膜型表面応力センサ (Membrane – type Surface stress Sensor, MSS) について、その動作原理や特徴などを、開発者の視点から詳細に説明します。さらに、最先端のハードウェア (センサ素子+感応膜、標準計測モジュールなど) とソフトウェア (機械学習、クラウドプラットフォームなど) を統合する総合的な研究開発について、産学官連携や最新の成果とともにご紹介します。
- 嗅覚センサ
- 嗅覚センサの現状と可能性
- MSSとシステム要素技術の研究開発
- ナノメカニカルセンサとは?
- カンチレバーからMSSへ
- 感応膜の設計と被覆
- MSSの応用例
- 産学官連携による最先端技術の垂直統合
- MSSアライアンスと最新成果紹介
- MSSフォーラムのご案内
- ハード (センサ) とソフト (機械学習) の融合
- ニオイから特定指標の定量抽出: (例) お酒のニオイからアルコール度数の定量推定
- 情報計測による化学センサの新たな展開
- 気体分子の新たな絶対量評価手法
- 流体熱力学質量分析 (Aero – Thermo – Dynamic Mass Analysis)
- まとめと今後の展望
- 嗅覚センサにおける標準化の考え方
- アプリケーションの可能性
第2部 人工嗅覚センサシステムの原理、感度向上と応用展開
(2018年3月15日 13:00〜14:40)
人口電子鼻すなわちエレクトロニックノーズシステムを構築するためのキーテクノロジーについて言及するとともに、エレクトロニックノーズシステム実現にもっとも重要なケモセンサの開発現状とセンサの機能設計及びエレクトロニックノーズシステムの応用分野について言及する。
- 人間の五感に相当するセンサについて
- 匂いセンサ (エレクトロニックノーズ) システム
- エレクトロニックノーズとは
- エレクトロニックノーズシステムの高江性
- エレクトロニックノーズシステムのキーテクノロジー
- エレクトロニックノーズシステム用ケモセンサ
- エレクトロノックノーズシステムの応用
- ロボット分野への応用
- 福祉・医療分野への応用
- 環境分野への応用
- 食品分野への応用
- エレクトロニックノーズシステム開発の将来展望
- エレクトロニックノーズシステム開発のストラテジー
- 将来展望
第3部 匂いイメージセンサによる匂いの可視化
(2018年3月15日 14:50〜16:30)
匂いの空間分布を可視化する匂いイメージセンサは高い情報次元を持つ二次元化学センサである。匂いイメージセンサは匂いの空間分布を可視化するだけでなく、化学センサの実用化を阻んできた基本的な問題を解決できるポテンシャルを持つ。本講座では匂い物質を選択的かつ高速に検知するプローブ開発、匂い空間情報の処理技術について解説を行う。
- 匂いセンサ情報の価値
- 五感・物理センサ・匂いセンサ
- 化学物質世界のディジタル化
- 匂いセンサ開発の流れ
- 匂いの受容機構と質的情報処理
- 生物の匂い情報コーディング
- 物理化学情報・匂いコードによる匂い情報の記述
- 価値がある匂い情報
- 生物に関連する匂いと人を探知するセンサ
- 農業ICT
- 匂いの可視化センシング
- 匂い計測の定義
- 高情報次元センサによる化学センサ実用化
- 光学的匂い検知プローブ
- 匂いイメージセンサ開発と様々な匂い可視化