全医薬品を対象に行った製造販売承認書の「一斉点検」の結果、対象3万2466品目中、全体の約7割に当たる2万2297品目に、軽微変更届が必要な相違が認められた。この結果を受け厚労省は同日付で、法令順守の徹底を求める通知を発出し、相違があった品目を持つ479社に口頭での注意や顛末書徴収などの行政指導を行った。その後、当局の査察では製造販売承認書との齟齬の有無にも重点を置き、無通告査察を開始、強化を行っている。
そのような状況下、MF/製造販売承認書に記載のない海外原薬が使用され、製造・業務停止の処分があったが、その原薬を使用した製品は回収にはならなかった。GQP省令は原薬メーカーをきちんと指導する製造販売業者の責任を問うており、一斉点検で不備があった製販は顛末書で「二度と起こしません。毎年、製造販売承認書と実際の齟齬を確認します」と約束している。このケースは、その約束が果たせなかったことにもなる。これをどうするかは今後の大きな課題である。
本セミナーでは、まず一変申請・軽微変更に関する通知類を確認し基本をおさえる。また、記載例からどのように記載するのか、どこまで記載するのかについて学ぶ。
変更する場合、従来は変更が品質に影響するかどうかが重要であったが、現在は製造販売承認書の記載に影響するか否かの確認が必須になった。変更管理のミスが製品回収に繋がる例が実際に起き始めている。
次に、製造販売業者と製造所の変更管理についても説明し、変更提案のどのような項目が一変申請・軽微変更になるかについて解説、幾つかの事例を紹介する。また、一変・軽微変更の判断に迷った場合についても経験から述べる。
さらに、判断ミスがあった場合の対応並びに、実際の事例での当局の対応、一変申請時の製造方法記載時の当局の要求内容および齟齬を確認する方法などについて、事例を交えながら紹介する。
原薬メーカーとして、齟齬を来さないためにはどうするか、また、GMP適合性調査で齟齬やGMP不備を指摘され、製品回収や新製品承認遅延になり、製販の信頼を損なわないようにするにはどうするか、著者の対策を紹介したい。
- 一斉点検の背景と対応
- 熊本県の化血研のケース
- 品質に影響があった齟齬
- 一斉点検に関する当局の指示
- 和歌山県の山本化学工業の違反と一斉点検の見直し
- 予測される今後の対応
- 繰り返す製造販売承認書との齟齬
- 改善命令
- 齟齬による製品回収
- 無通告査察の実際の事例とその対応
- 無通告査察の通知
- 無通告査察の指摘事項
- 無痛広告査察に備えて
- 改正薬事法の一変申請・軽微変更
- 関係する通知/事務連絡
- 迅速一変申請
- 医療用医薬品等の承認申請等に関する質疑応答集 (Q&A)
- 一変申請すべきところを軽微変更届による製品回収
- 欧米変更管理
- PMDAによるディシジョンツリー
- 製造販売承認書/MFの記載方法
- 原薬/製剤の製造所/試験/保管場所の記載
- MF制度の位置づけ
- 製造方法の記載 (一変/軽微事項)
- 一変申請事項と軽微変更届の記載の混乱
- 医療用医薬品の承認審査から見た課題 (PMDA)
- 一変申請・軽微変更届の変更管理
- 薬事対応 (一変/軽微) の判断
- 一変申請・軽微変更届時のデータ準備
- 一変判断に迷った時の対応
- 海外変更が伴う場合
- 会社買収に伴う変更と入荷 (海外の場合) の注意事項
- 変更実施後の評価とフォロー
- 試験方法の変更 (日局対応含む)
- 製造販売承認書管理ソフト (Open – Approvalを使って)
- 原薬製造所と製造販売業者の関係 (GMP⇔GQP)
- 変更管理/連絡の関係
- 取決事項
- GMP査察での確認
- 一変申請・軽微変更届でのミスに伴う対応
- 製造販売承認書記載事項との齟齬発見時の対応
- MF業者の薬事対応のミスに伴う製造販売業者の対応
- 一変申請・軽微変更の失念/判断ミスの対応
- 当局に提出する顛末書記載等について
- 迅速一変申請での製造所追加
- 迅速一変申請の条件
- 製造プロセス、製造装置が同じかどうかの判断
- 軽微変更&軽微変更による、一変事項代替
- 製造時の一変事項逸脱時の対応事例
- 当局の査察による指摘事項
- 品質の評価/根拠データ収集
- 当局対応
- 一変申請・軽微変更届の失念/判断ミスの事例
- 保管場所の掲載漏れ
- 2MF業者のMF変更判断ミスに伴う製造販売業者の対応
- 一変申請失念に伴う変更管理不備の対応
- 製造方法の記載に関する当局の要求事項とその事例
- 医療用医薬品の承認審査から見た課題について (PMDA)
- 承認申請書記載例解説 (厚生労働科学研究費補助金)
- よくある照会事項 (奈良県)
- 照会事項対応事例
- 一変承認時の新旧製品切り替え
- 通知
- Q&A
- 日局変更・新規収載時
- 事例から学ぶこと
- 何が問題か
- 判断ミスを失くす
- 県の対応
- 製造販売会社の対応
- 偽造を見つけるための査察 (PMDAが行うと想像される項目)
- 逸脱/OOSなどの事例を深堀する
- 日付に注目する
- サイン日の出社を確認する
- 紙の白さに注目する
- 収率に注目する
- 受け入れ試験から出荷までの製造工程を一貫して記録を見る
- 作業者に個別ヒアリングを行う
- プラントツアー時に現場の記録等を確認する
- 倉庫の原料を確認する
- 倉庫の入荷ログ (リスト) を確認する。
- 生データを確認する
- サンプリングではなく全てのロットを確認する など
- Closeな質問でなく、Openな質問をして相手に話させる
- 変更管理において重大なミスをなくすために
- 変更管理担当者並びに品責の教育/訓練
- 製造方法記載の手引き (SOP兼研修資料)
- 製造所の変更管理の確認 (特に海外製造所)
- 変更提案のフォロー管理 (PDCA)
- 5H (初めて、変更、久しぶり&犯罪、普段と違う)
- 原薬製造所のQAとして得ておきたい知識
- 合成の基本知識
- 分析の基本知識
- GMP/レギュレーションの基本知識
- 類縁物質/不純物を減らすための知識
- 残留溶媒の基本知識
- 出発物質/製造方法変更 (製造所追加) 時の注意事項
- 原薬の結晶形/粒度分布が製剤に与える影響
- 原薬の異物対策 (グローバル品の異物事例)
- 人が創る品質/FDAのQuality Culture