本講座は、初級レベルの知識習得からはじめてアクチュアリー試験・生保数理科目合格を目指す方に最適です。専門分野と試験対策に精通している講師が、過去問を中心に演習問題を用いながら、合格のためのポイントを解説します。 その際、解法を単に説明するのではなく、教科書や過去問解答集等では知りがたい解法のテクニックやショートカット解法等を紹介していきます。
生保数理の特徴として、以下の点が挙げられます。
- 数学や損保数理のように高度な確率分布を用いた計算などは不要であるため、初学者でも比較的取り組みやすい内容と言える。
- しかしながら、教科書は上下巻で660ページ程度とかなりのボリュームがあり、すべてを学習しようとすると非常に時間がかかるし、合格のためにマスターする必要のある公式も非常に多い。
- また、教科書の章末問題と過去問を合わせると膨大な数に上るため、合格するためにはどこまで学習すれば良いか、 (特に初学者には) 判断がつきにくい。
上記の生保数理の特徴を踏まえ、本講座では以下の方針で講義を進めます。
- 直近15年程度の過去問を分析して分野・難易度別に整理した分類表を配布します。
- 上記の分類表を元に、出題頻度が高い分野を中心に、特に学習効果の高い問題を取り上げます。また、受講生の理解が容易になるように、取り上げる順番にも配慮します。
- 問題の解説に当たっては、問題の概要・背景、教科書の該当箇所の重要な点の説明、必要な公式の説明、解法の説明の順に進めていきます。
- 使用頻度が高い公式については、意味や導き方を含めて解説し、受講生が自由に応用できるレベルまで理解度を引き上げます。
- 計算基数 (Dx,Cx,Nx,Mx) の意味を理解すると導出が容易になる公式
- 図解によって理解が容易になり、結果として自分で導出することも容易になる公式
- 連続払いの場合の公式:教科書では年k回払いの場合でk→∞としたときの極限として導いているケースが圧倒的に多いですが、この方法は計算が大変なため、公式を忘れてしまったときに簡単に導くことができません。
本講義では微分積分を使った導き方を解説することにより公式を直感的に理解していただき、結果として記憶や導出も簡単にできるようにします。
講義で取り上げなかった問題については、自学自習で取り組む問題の選択に役立つように、難易度や特徴などについて特記事項があればコメントを加えます。講義は、基礎期、直前期の2期に分け、基礎期はインプット中心で中級レベルまでの解説講義と過去問題演習を行い、直前期はアウトプット中心でオリジナル問題を含めた問題演習および直前総まとめ講義を行います。各回で取り上げる問題やトピックスは、事前に指定します。受講者からの質問や要望も講義終了時に受け付け、講義内容に反映させます。
第1回 生保数理の全体像、基本となる記号、計算基数、保険料の算出方法
- 生保数理の全体像の説明
- 基本となる記号、計算基数の説明
- 純保険料、営業保険料の定義、考え方、計算公式など
- 問題演習
- 事前に指定する過去問を通して解法テクニックを解説します。範囲は概ね以下のとおりです。
- 死力に関連した問題
死力が一定、死力が1/ (a – x) の形、tpx×μx+tが算式で与えられているパターンなど、死力の問題は頻出で様々なパターンがあるため、代表的なパターンを網羅して解説します。
- 定常状態に関連した問題 生命関数が一次関数で与えられているとき、定常状態に達した集団の平均年齢を求める問題など。
第2回 責任準備金の算出方法、連合生命 (連生)
- 責任準備金の定義、考え方、計算公式など
- 連生の定義、考え方、計算公式など
- 問題演習
- 事前に指定する過去問を通して解法テクニックを解説します。範囲は概ね以下のとおりです。
- チルメル式責任準備金に関する問題
チルメル式責準に関する情報からチルメル割合αを求める問題など、代表的なパターンを網羅します。
- 連生に関する問題
連生の問題は、単に保険料や責任準備金を算出する基本問題から、複雑な給付条件が与えられている場合など様々なパターンがありますので、幅広く取り上げる予定です。
第3回 多重脱退、就業不能保障保険
- 多重脱退の定義、考え方、計算公式など
- 就業不能保障保険の定義、考え方、計算公式など
- 問題演習
- 事前に指定する過去問を通して解法テクニックを解説します。範囲は概ね以下のとおりです。
- 多重脱退に関する問題
2重脱退、3重脱退、中央脱退率、絶対脱退率など、多重脱退に関する問題の代表的なパターンを網羅して解説します。
- 就業不能保障保険に関する問題
就業不能は記号が複雑でわかりにくいですが、前半で解説した事項を元に、各種の脱退率を求める問題、責任準備金を求める問題など、様々なパターンの問題を解説します。
第4回 その他の重要な問題に関する説明
- 過去3回の講義で取り上げた問題以外で重要な問題を全般的に解説します。
- 問題演習
- 事前に指定する過去問を通して解法テクニックを解説します。範囲は概ね以下のとおりです。
- 死亡保険金に関する条件から保険料を求める問題
死亡保険金として以下のいずれかを支払う保険の営業保険料を求めさせる問題が頻出ですので、代表的なパターンを解説します。
a. 既払込保険料の一定割合、b. 責任準備金 (平準式、チルメル式) 、c. 責任準備金+定額、など
- その他のテーマ
基礎率の変更、払済保険、延長保険、ティーレの微分方程式など
第5回 オリジナル生保数理問題演習&補足解説
生保数理の過去問と同レベルに設定した問題 (シグマ・オリジナル生保数理問題を含む) を事前に配布し、受講生に事前に解いておいていただきます。
直前期の講義であるため、出題分野は試験範囲全体とします。
講義では問題の解答例を配布し、重要なポイントについて解説を行います。
また、事前に配布した過去問分類表を用いて、今回取り上げた問題と同分野の類似問題または発展問題について紹介し、受講生がその後の勉強を効率的に進められるように配慮します。
第6回 オリジナル生保数理問題演習&補足解説
第5回と同様に、生保数理の過去問と同レベルに設定した問題 (オリジナル問題を含む) を事前に配布し、受講生に事前に解いておいていただきます。
直前期の講義であるため、出題分野は試験範囲全体とします。
講義では問題の解答例を配布し、重要なポイントについて解説を行います。
また、事前に配布した過去問分類表を用いて、今回取り上げた問題と同分野の類似問題または発展問題について紹介し、受講生がその後の勉強を効率的に進められるように配慮します。
第7回 直前総まとめ
第5回、第6回の問題演習の結果を踏まえ、出題可能性の高い分野で理解が不十分と思われる個所について再度解説を行います。解説に当たっては、受講生の反応を見ながら、必要に応じて理解を深めるための追加的な説明を行います。
取り上げる項目については、第5回、第6回の講義の後に受講生からアンケート等により募った意見も参考に決定します。
最後に、合格に達するために必要な知識・テクニックを総まとめするという観点から、重要な点について解説を行います。