波長が230 – 350nmの紫外発光ダイオード (DUV – LED) は、殺菌・浄水、皮膚治療などの医療、紫外樹脂硬化・加工、UV接着、印刷・塗装・コーティング、生化学産業、農業など、さまざまな分野での応用が考えられており今後の実用化が期待されている。最近、窒化物AlGaN系半導体を用いた紫外LEDの開発が盛んに行われており、すでに実用可能な出力も達成されている。一方、素子の効率は未だ低く、マーケット拡大の大きな妨げとなっている。
本講演では、AlGaN深紫外LEDの高効率・高出力化のポイントについて、結晶成長と高効率発光、注入効率・光取り出し効率の向上などの観点から概説し、現状と今後の展望を述べる。最近得られた世界最高効率・深紫外LED“水銀ランプに迫る20%程度の効率”の達成についても紹介する。
- AlGaN系UVC – LEDの最近の動向
- UVC – LEDの応用分野
- 殺菌用途の重要性と要求波長
- UVC – LEDの開発競争
- UVC – LEDの効率の現状
- 高効率化への問題点と改善方法
- AlGaN系半導体の高品質結晶成長と高効率発光の実現
- MOCVDによる結晶成長の基礎
- アンモニアパルス供給多段成長法
- サファイア上AlN結晶の貫通転位密度の低減
- AlNのTEM、AFMによる評価
- AlGaN量子井戸の内部量子効率
- UVC – LEDの実現とこれまでの高効率化技術
- 低転位AlNテンプレート上のUVC – LED
- 発光スペクトルとI – L特性
- 電子オーバーフロー制御による高効率化
- 最短波長領域への挑戦
- UVC – LEDの放射特性
- InAlGaN4元混晶を用いた高効率化の実現
- 光取り出し効率の向上、今後の課題と展望
- 光取り出し効率向上の重要性とその方法
- 透明p型AlGaNコンタクト層を用いたLEDの実現
- 高反射p型電極
- フォトニック結晶を持いた光取り出し効率改善
- PSS基板を用いたAlNピラーバッファーの実現
- 効率向上に関する今後の展望