本セミナーでは、炭素繊維やガラス繊維など、FRPを構成する強化繊維と樹脂との界面現象「浸透」について取り上げ、その評価方法からぬれ性との相関性、界面処理技術まで解説いたします。
繊維強化プラスチック (FRP) はプラスチックを繊維に浸透させることで成形される。そのため、特に強度や剛性が要求されるFRP構造の製造工程では、繊維に対する樹脂の浸透過程の理解に基づき、強化繊維内部の空隙 (ボイド) や未逹領域の有無などの、成形品の品質保証が求められる。また、繊維に対する樹脂の浸透工程は、樹脂が一方向に広がる1次元流れが支配的なものや、面内に樹脂が広がる2次元流れが支配的なもの、あるいは厚さ方向を含めた3次元的な流れなど、その支配則も変化する。 そこで本講座では、浸透性の評価法に関する理論的背景と実験的評価法について紹介し、浸透性に関する広い理解をうながす。また、現在講師が取り組んでいるぬれ性と浸透性の相関性に関する研究について紹介しながら、界面処理技術に基づく繊維・樹脂界面のぬれ性の向上手法を紹介する。