第1部 ポリイミドの基礎、およびポリイミドの透明化、機能化設計と製品開発動向
(2018年1月17日 10:00〜13:40)
耐熱性透明高分子材料が新しいフレキシブルディスプレイ基板のキーマテリアルとし注目されている。耐熱性に優れた高分子材料にポリイミドが知られているが、市販のKapton の例からもわかるように、通常は黄色~褐色に着色している。
本講座の理解を深めるために、ポリイミドの基礎から、ポリイミドの着色の構造要因を明らかにして、耐熱性と透明性を両立できる透明化設計と透明性に加えて用途展開に必要な機能化設計の考え方を説明する。また、その開発事例についても紹介する。
- 耐熱性ポリイミドの基礎
- 構造と物性の関係
- 熱的性質
- 力学的性質
- 多様な重合方法と工業的な製法
- 加工性
- 耐熱性ポリイミドの着色要因と透明化設計の考え方
- 光学特性の基礎
- ポリイミドの着色要因と電荷移動錯体
- 電荷移動錯体の生成から考える透明化設計
- 透明性を発現した耐熱性ポリイミドの機能化設計
- 芳香族系
- 脂環族系
- 耐熱透明ポリイミドの機能化動向
- 低熱線膨張係数化
- 屈折率制御など
- 耐熱透明ポリイミドの製品開発動向
第2部 ポリイミド/シリカハイブリッド材料の透明性とシリカナノ分散化技術
(2018年1月17日 13:50〜15:20)
高分子に無機物を直接分散させようとすると、双方の性質が大きく異なることから、均一分散化は非常に難しい。我々の研究グループでは、均一化を図るために、ハイブリッド化にシランカップリング剤を用いて相溶性を補ったところ、両者の混和性が改善され、透明性を保持したポリイミド/シリカハイブリッド材料が得られた。
本セミナーでは、そのときの作製条件や得られたハイブリッドの材料特性について紹介する。
- 有機/無機ハイブリッド材料の材料設計
- 複合材料 (コンポジット材料) とは
- ナノコンポジット化と複合効果
- ナノコンポジット化と光学特性 ~総論として~
- 複合化技術としてのゾル – ゲル法
- なぜ、ゾル – ゲル法なのか? ゾル – ゲルの利点
- ゾル – ゲル法を用いた有機/無機ハイブリッド材料の調製法
- ポリイミド/シリカハイブリッド材料の作製
- ハイブリッド化に必要となる材料設計
- ハイブリッドの合成・成膜条件とキャラクタリゼーション
- シランカップリング処理によるシリカの微分散化
- ハイブリッドの光学的性質
- ハイブリッドの微細構造
- 本報告のまとめ
第3部 透明ポリイミド用ワニスの開発と応用
(2018年1月17日 15:30〜17:00)
透明ポリイミドを開発するにあたり、ポリイミドとしての特徴と透明性をどの様に両立させてきたか、また工業的に有用な材料とするために何を考えてきたのか、ご紹介します。
- 三井化学のポリイミド開発とポリイミドの基礎
- ポリイミド概要
- ポリイミドの歴史
- 三井化学のポリイミド開発
- ポリイミドの透明化検討
- 三井化学における初期の検討
- 三井化学における透明ポリイミド開発の方向性
- ポリイミドの透明化における理論的アプローチ
- 透明ポリイミドプロトタイプの開発
- 透明ポリイミドの物性制御
- CTE (熱線膨張係数) の制御1
- CTE (熱線膨張係数) の制御2
- 三井化学の透明ポリイミド用ワニス
- 基本銘柄
- ワニスから得られるポリイミドフィルムの特徴
- 透明ポリイミド用ワニスの展開と応用