リチウムイオン二次電池は小型可搬型デバイスの電源として大きな需要があり、車載用蓄電池として最も期待されている。最近、全固体電池実用化の可能性が示唆され、リチウムイオン二次電池がさらに注目されている。そのため、全固体電池用固体電解質の物質探索、既知・新規電極材料の開発研究が活発になされている。
今回、材料および電池反応分析手法の一つとして、中性子線を取り上げる。一般には知名度は低いが、電池研究分野において世界中で利用されている強力な分析手法であり、世界中の大強度中性子源の誕生でその利用は進んでいる。日本にも大強度中性子線源があり、産学官の利用が可能である。本セミナーでは、マルチプローブ (X線、放射光、中性子) による粉末回折法を用いた電極材料および固体電解質の構造解析手法及び動作環境下での蓄電池反応を観測するオペランド測定について、基礎的知識から応用例までを説明する。
- 高エネルギー加速器研究機構の概要
- 粉末回折法による構造解析の基礎
- 回折法の基礎
- X線、放射光、中性子線の基礎
- 各プローブによる粉末回折装置の特徴
- 解析手法の基礎
- 中性子線の一般的応用事例
- 粉末回折法によるリチウムイオン二次電池材料の構造
- 電極材料の構造解析
- 固体電解質 (例:LGPS系硫化物超イオン導電体) の構造解析
- イオン導電経路の可視化手法 (マキシマムエントロピー法MEM)
- オペランド測定による電池反応解析 (液系、全固体電池への応用)
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