本セミナーでは、ミリ波アンテナの実用上の課題と、その課題を考慮した設計手法、高機能化技術について解説いたします。
波長に対する寸法で構造を設計するアンテナは、原理的には、すべての寸法を波長比でスケールダウンあるいはスケールアップすることによって、異なる周波数で同じ特性のアンテナが設計できる。ところがミリ波の電磁波は極端に周波数が高いため、実際に設計・試作し、実験により特性を評価してみても、所望の特性が得られないことが多い。これは、伝送線路の損失が予想以上に大きかったり、製造限界によりアンテナ各部の寸法を大幅に変更せざるを得なかったり、製作誤差や組み付けのばらつきが、波長に対して無視できない大きさになってしまったりすることなどに起因し、実用上の課題が多い。 本セミナーでは、まず、ミリ波ならではの性質が生かされて先行して実用化された自動車レーダをはじめ、近年、注目されるようになってきた第5世代移動通信 (5G) などのミリ波通信の開発動向について紹介する。さらに、ミリ波アンテナの実用上の課題とそれを考慮した設計手法や、その高機能化の一手法として注目されている指向性走査技術について解説する。そして、自動車レーダシステムにアンテナを実装する上で重要な異種伝送線路接続技術や、周波数選択板を用いたレドームの影響低減技術について解説する。