本セミナーでは、金属、CFRP、ゴムなどの高圧、低・高温下での水素劣化の要因解明と耐久性、信頼性の評価、最新の規制動向について詳解いたします。
(2017年12月6日 10:00〜11:10)
CFRP製高圧水素貯蔵容器では、CFRP層の厚肉化に伴い圧力容器の重量が増加し、圧力容器のコストも増加するという欠点が問題となる。さらに、内圧を受ける円筒では、外径/内径比が大きくなっていくと厚肉による効果はそれほど大きくなく、材料を無駄に使用することになる。CFRP製圧力容器の補強方法は種々考えられるが、軸対称形状に軸対称負荷を受ける圧力容器の補強方法には制約がある。 本講演では、CFRP製圧力容器の破裂圧力向上と軽量・低コスト化を実現するために、既存のCFRP製圧力容器を二つの方法で補強し、その合理性を実験とFEM解析の両面から検証した結果について紹介する。
(2017年12月6日 11:20〜12:30)
水素エネルギーの導入が積極的に進められているが、これにともない、高圧・低圧、高温・低温などの様々な条件下で金属系・無機系・ポリマー系を含む多くの材料と水素とが接触する状況が格段に増えた。水素は金属材料の機能性や安全性を阻害する場合がある。鉄鋼材料では、高強度ほど水素脆化しやすいことが知られている。材料特性や安全性を維持・向上する観点から、水素バリア機能を付与する技術開発が始まっている。 本講演では、水素エネルギー社会実現に向けた様々な動向を意識しつつ、水素が材料特性に及ぼす影響、バリア技術の基礎、水素バリア機能の評価方法、機能薄膜と生成プロセスの各論について平易に解説する。
(2017年12月6日 13:10〜14:20)
本講座では、燃料電池自動車・水素ステーションを中心とした高圧水素ガスタンクの開発と要求特性・今後の課題について解説する。 具体的には、高圧水素容器の要求仕様、関連する技術基準、各種高圧容器の製造方法、各種高圧容器の開発のトレンドと技術課題について解説する。
(2017年12月6日 14:30〜15:40)
EVOHを含むポリビニルアルコール系樹脂は、PEの20万倍~7000倍ものガスバリア性を示す機能性材料であるが、自油体積が小さい為、低温下では脆性破壊挙動を示す。低温 (-40℃乃至-70℃) から高温 (85℃) と広い温度範囲に晒される高圧 (70MPa~) 水素タンク用樹脂ライナーを品質設計するにあたり、例えば高圧水素加圧脱圧時のボイド形成抑制因子 (降伏応力、弾性率、水素侵入量等) に影響する結晶領域と非晶領域の制御等が不可欠である。 今回、高分子素材の非晶部の改質例、ガスバリア材の自由体積制御による水素ガスバリア性の更なる向上、トレードオフの関係にある水素耐性と低温特性を両立するための非相溶系ポリマーアロイ及びその留意点、自由体積の観点を交えた非晶部の補強を目的とした相溶系ポリマーアロイなど、樹脂ライナーの開発例について紹介する。
(2017年12月6日 15:50〜17:00)
高圧水素容器は軽量化の要求から炭素繊維強化プラスチック (CFRP) 製が主流となっている。これまでは設計確認試験によってのみ安全性が確保されると考えられており、試行錯誤的な設計に陥っていた。 設計確認試験に代わるCFRP製容器の合理的設計手法を確立するためには製造まで含めたシミュレーション技術の開発が必須であり、その現状を紹介する。