(2017年11月22日 10:30〜12:30)
医薬品の製造において最も大切なことは、その安全性と有効性を確保することであり、その達成は原薬および製薬の品質保証により実現されている。品質管理試験は、これらの品質保証のための重要な要素である。 本講座では、まず、バイオ医薬品の品質管理試験に関して全体像を概説する。次いで、近年関心が集まっている凝集体に焦点を当てて、科学的基本事項と規制状況に触れたのち、その検出技術、除去技術および抑制技術に関する研究開発の現状を演者らの最新データを含めて紹介する。
(2017年11月22日 13:30〜16:30)
バイオ医薬品は従来の低分子化合物医薬品と比較しての有効性が高く副作用が少ない医薬品として期待されており、実際にこれまで治療が困難であった数多くの病気に治療の道を開いた。そうは言っても、バイオ医薬品に問題がないわけでなく、種々の副作用の問題を有する。その中でもバイオ医薬品の免疫原性は、臨床試験中または上市後のタンパク医薬の医薬品としての是非をも左右し、新規バイオ医薬の開発において克服することが必須である大きな課題である。 バイオ医薬品における免疫原性のリスク因子としては、異種と認識されるアミノ酸配列、タンパク質会合・凝集体、宿主由来タンパク質 (HCP) 、そして糖鎖などが挙げられるが、これらリスク因子の中でも、タンパク質凝集体、特にSubvisible particles (SVP) と呼ばれる粒径が0.1~10?mの凝集体は、未だ当局からその評価の指針が確立しておらずバイオ医薬品開発現場における“頭痛の種”となっている。 本講演では、バイオ医薬品における免疫原性のリスク因子であるタンパク質凝集体にフォーカスし、その生成原因や物性に関して解説するとともに、現行の評価・分析法の問題点、そしてこの問題に対する対処策などについて述べさせて頂く。また、バイオ/抗体医薬品における各サイズのタンパク質凝集体/不溶性微粒子 (0.2?m以下、Subvisible particles [0.2~2.0?m、2.0~10?m]、そして10&25?m) の評価に用いる各種試験法と同定法に関する詳細な説明を行うとともに、各開発ステージに応じた包括的なストラテジーについて述べる。