20世紀は視覚と聴覚の時代として、その工学的実現・応用が目覚しい発展を遂げ、社会生活、産業に大きな変革をもたらした。現在これらが成熟期を迎え、いま触覚に注目が集まってきている。その一つとしてロボットハンドの研究開発がある。器用な手の実現は、生産システムの高度自動化を進め、国際的競争力向上に大きく貢献する。この人間の手の器用さは、多くの自由度と繊細な触覚情報があることで実現される。
また、現在情報機器の操作では、タッチパネルの利用が当たり前になり、触覚を用いたインタフェースが各種情報機器、家電分野で使われている。このように触覚センシング技術は、ロボティクス技術やヒューマンインタフェース技術において重要な研究開発領域となっている。
講演では、触覚の工学的実現を目指した、これら触覚センサについて、その検出機能と動作原理の基本を理解することを目的に解説を行う。
- 触覚センサの概要と基本構成
- 触覚の概要
- なぜ触覚か
- 五感の中の触覚
- ユーザが触覚に期待する分野・技術
- 触覚センサの難しさ
- 触覚センサに求められる検出機能と特性,種類
- 検出機能と特性
- 触覚センサの分類
- 触圧覚センサ
- すべり覚センサ
- 近接覚センサ
- その他のセンサ
- 触覚センサの基本構成
- センサ構成
- 検出素子へのアクセスとセンサ信号の伝送方式
- 一対一配線方式
- マトリクス配線方式
- シリアルバス方式
- 無線方式
- 境界接続方式
- 触覚センサと種類と動作原理
- 触覚センサの動作原理
- 力から電気量への変換方式
- 電気抵抗方式
- 静電容量方式
- 光学方式
- 光遮断方式
- 光導波板方式
- 弾性体変形/変位の画像計測
- 圧電効果 (電荷) 方式
- 磁気変化方式
- 超音波
- すべり覚センサの動作原理
- 近接覚センサの動作原理:近接情報検出方式
- 光反射光量方式 (フォトリフレクタ)
- 三角測量方式
- 光往復時間TOF方式
- 静電容量方式
- 渦電流方式
- これまで開発されてきた触覚センサ事例紹介
- これまで開発されてきた触覚センサの例
- 感圧導電ゴムを用いた方式
- 圧感受性インクを用いた方式
- 触覚センサスーツ
- 荷重分布中心位置と総荷重検出センサ
- 近接覚・触覚複合型センサ
- 静電容量型触覚 iCub skin
- 光導波板を用いた方式 (指先装着)
- ゲルの変形を用いた方式
- 半導体圧力センサのアレイ状に配置
- 半導体式せん断力センサ
- 導電性流体を用いたもの (BioTac)
- EIT (Electrical Impedance Tomography) 法
- E-skin
- E-textile
- 触覚センシングで解決すべき問題