プラスチック成形加工は、単純化すれば「流す」「形にする」「固める」工程からなります。望まれる形状を賦与するためには、粘弾性体である高分子溶融体の挙動を把握し、理解することが必要です。これらの工程は重要な最終的な製品の物性や機能にも大きな影響を与えるものです。
本セミナーでは、はじめにレオロジーの基本概念、次にレオロジー測定方法、データの見方、代表的なプラスチック材料の流動挙動、最後はプラスチック成形加工性を理解し向上させるための具体的なレオロジー研究例を紹介します。
- はじめに
- プラスチック成形加工の特徴
- レオロジーとは?なぜ必要?プラスチック成形加工との密接な関係
- レオロジーの基本的な考え
- ひずみ、応力、弾性率、粘度
- 変形の様式:せん断、伸長変形
- 純弾性体 (フックの法則) 、純粘性体 (ニュートンの法則) 、粘弾性体のレオロジー的振る舞い
- 粘弾性模型 (マクスウェルモデル) と緩和時間
- 貯蔵弾性率G’、損失弾性率G”、緩和時間とは?
- G’とG”から複素粘度を求める
- 身近なレオロジー ~動画で見る粘弾性~
- 溶融プラスチックのレオロジー測定方法とデータの見方 (何が分かるか)
- からみ合い系プラスチックのレオロジーの特徴
- 低分子と高分子の違いは?
- ゴム弾性
- 単分散ポリスチレンのレオロジー、分子量の影響
- 擬ゴム状弾性率とからみ合い点間分子量
- マクスウェルモデルとの違い
- 線形粘弾性 (動的粘弾性)
- 実験方法 条件の決め方、プレート形状の選び方、測定上の注意点
- 時間スイープ、ひずみスイープ、温度スイープ、周波数スイープ測定
- 各種データの見方
- からみ合いとゴム状平坦弾性率、からみ合い点数の評価
- 温度時間換算則
- WLF式、アレニウスプロット、van Gurp – Palmen則
- 流動の活性化エネルギーと分子構造
- 定常流粘度
- 測定上の注意点
- キャピラリーレオメーター
- 動的複素粘度と定常流粘度の比較 (Cox – Merz則)
- 階段状応力緩和
- 測定上の注意点
- 線状、分岐高分子の応力緩和挙動、ダンピング関数
- 伸長粘度
- 測定方法、測定上の注意点
- せん断粘度と伸長粘度の関係
- 線状・長鎖分岐高分子のひずみ硬化性
- 溶融プラスチックのレオロジー挙動、その改質例
- ポリスチレンのレオロジー改質
- 高密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレンのレオロジー挙動
- ポリプロピレンのレオロジー改質
- ポリマーブレンドのレオロジー
- ブロック共重合体のレオロジー
- 熱硬化系樹脂のレオロジー
- 物理ゲル (PVC/可塑剤系, PP/ソルビトール核剤) のレオロジー挙動
- 流動履歴がレオロジーに及ぼす影響
- 粒子充填系の粘弾性、伸長粘度
- 充填剤添加量、粒径、形状がレオロジー挙動に及ぼす影響
- 溶融プラスチックのレオロジーの改質と成形加工性
- レオロジーと発泡成形
- ガス含浸による物性変化 Tg, Tm, 粘度の変化
- 溶融張力改質ポリプロピレンの発泡成形
- リサイクルポリエチレンテレフタラートの溶融張力改良とブロー成形性
- 壁面スリップの評価と押出物表面形状 (シャークスキン、メルトフラクチャー)
- 急縮小流路における流動 (対流、劣化、フィッシュアイ、メルトフラクチャー)
- 異種多層共押出フィルム成形
- 質疑応答