ワイヤレス給電はその標準化も進み、新たな研究開発フェーズを迎えています。その中で、理論整備も進み、パワーエレクトロニクス、アンテナ、マイクロ波、マグネティクス分野等の境界領域に位置する本分野の課題が明らかになってきています。 本講義では、回路理論 (パワーエレクトロニクス) の立場から、磁界結合ワイヤレス給電システムをモデル化し、設計課題を明らかにしていきます。その中で、ワイヤレス給電の開発課題は、 (1) スイッチング損失の低減、 (2) 受電側のインピーダンス最大化、そして、 (3) 結合コイルの等価直列抵抗最小化に帰着することを明らかにし、それぞれの問題に対し、そのソリューションとなる技術や理論を解説します。 (1) について、送信回路として用いられるスイッチング増幅器の最新技術について解説します。 (2) について、整流器のモデル化、比較を行います。この中で、磁界共鳴の意味を回路理論の立場から説明できます。 (3) については、コイル設計の立場から、表皮効果、近接効果の影響をモデル化するDowell方程式について解説します。同方程式から、等価直列抵抗低減方法について多くの示唆を得ることができます。そして、これらを統合的に考え、最適化設計を実現するための方法について紹介します。 本講義を通じて、ワイヤレス給電の要所・勘所を理解していただき、回路理論の立場からみた設計開発の方向性を示したいと考えています。