切迫する地球温暖化の対策の一つとして、石油由来のプラスティク材料の縮小と、代わりに循環資源である木材由来の紙材料の利用拡大が考えられている。紙は古くから身近にかつ大量にある材料だが、材料科学の視点で再度見直す必要がある。
ここでは紙材料全般にわたり、その基礎的事項を中心に平易に解説する。
- はじめに
- 紙の歴史と変遷
- 紙パルプ産業の特徴、現状と展望
- 紙の原料
- 紙の原料になる木材
- 木材を構成する化学成分
- パルプとその漂白
- 機械パルプ
- 化学パルプ
- リサイクルパルプ
- 漂白
- 抄紙
- 紙層形成過程の観察
- 紙料調成
- 叩解
- 調成時に添加する物
- 紙加工
- 紙の構造
- 紙構造の3次元観察
- 顔料塗工紙の観察
- 紙の構造を表す基礎的数値
- 紙構造の不均一性
- 紙の厚さとその測定法
- 紙表面構造とその測定法
- 紙の空隙構造とその測定法
- 紙の物性
- 光学的性質
- 紙面方向での力学的性質
- 引張下での紙に生じる諸現象
- 常用力学試験
- 単繊維強度
- 水分 (相対湿度) の影響
- 厚さ方向の力学挙動
- 圧縮性
- 厚さ方向の強度
- 剥離試験
- その他紙の使用において重要な物性
- 紙のこし (こわさ)
- 紙の摩擦
- 紙の印刷
- 文献