日本当局査察もPIC/SのGMPを考慮したグローバルなGMP査察となってきた昨今、海外当局査察のための準備ではなく、日常的にグローバルGMPを十分理解した試験室の管理が必要となってきている。特に試験室においては、データインテグリティーにフォーカスした査察が日本でも行われるようになり、データ改ざんが行われていなくても、その行為が行うことが出来る環境にあるという理由で指摘されるケースも見られる。本講では、そのような査察に対してどのような備えが必要なのかを解説する。
- 試験室に関する海外査察の指摘事項
- 日本のPIC/S加盟前後の海外当局査察の変化と、近年実施されるFDA査察の指摘概要を紹介及び解説する。
- 試験室管理とは
- 適切な管理を実施するには、管理の目的、つまりは、試験室のコンセプトが重要となる。「我々は何を達成するために○○管理を行う」と対外的に説明できること、自らの試験室に必要な管理は何かを考える上での注意点を解説する。
- 試験室の完全性
- 査察において対外的に自らの試験室管理を説明し理解を得ることができるということは、 (医薬品) 製造業者として、「顧客に対する説明責任」を果すことを意味する。
そのためには、試験記録の完全性だけでなく、以下に示す試験室の様々な管理において、根拠に基づき利用する誰からも共通の理解が得られる手順とALCOAの原則に沿った記録が作成され、それを何時でも適切な時期に確認することが可能でることを保証しなければならない。
- 組織、従業員、教育訓練
- 試験室全般
- 文書化 (紙・電子)
- 指示系 (規格書、手順書、計画書、技術的な契約書)
- 記録系 (記録書、試験成績書、報告書)
- 分析機器
- 試験器具
- 試薬・試液、標準物質
- 試験用検体 (サンプリング、保管、参考品)