本セミナーでは、高エネルギー密度化に向けた導電剤との複合化、電極材料の作製技術を詳解いたします。
また、正極から硫黄が電解液に溶出しないようにするための手法についても解説いたします。
(2017年10月30日 11:00〜12:40)
溶液中のイオンの構造と反応性は、古くから学術的な興味だけでなく、電池、特に電解液の開発とも密接に関係しながら発展してきました。溶液中のイオンを分子論に立脚して体系化する試みは、水溶液に関しては、ほぼ完成したといえます。 しかし、非水溶液やイオン液体といった複雑な系では、未だ不明な点も多く残されています。 一方で、次世代高性能電池の電解液開発の観点からは、溶媒和イオン液体のように、従来にはない新たな概念を必要とする液体が提案されています。 本講座では、溶液中のイオンの構造と反応性、イオン伝導について、古典論から出発し、講師らの最近の成果にいたるまで平易に解説します。
(2017年10月30日 13:35〜14:45)
硫黄は従来のリチウムイオン電池に用いられる正極材料と比較して、約10 倍の理論容量を持っており、リチウム硫黄電池は次世代高容量二次電池として期待されている。 しかし、実用化においては、充放電時に生成するLi2Sx中間体が電解液に溶出して容量が急激に低下するという大きな問題を解決しなければならず、電解液設計の自由度が低い。 本講演では活性炭のナノスケールの細孔内に硫黄を充填し、電解液と硫黄の接触を防ぐことでLi2Sxの溶出を完全に抑制し、電解液の選択の幅を広げて出力特性を向上させる試みについて紹介する。また、Li2Sxの溶出を抑制できる活性炭の細孔サイズと電解液溶媒サイズの関係を調査した結果についても紹介したい。
(2017年10月30日 15:00〜16:40)
エネルギー問題の解決に向けて、高エネルギー密度二次電池の重要性が高まっている。その安全性や信頼性を飛躍的に向上させるには、蓄電池の全固体化が有効であることが広く認識されている。 ここでは、硫化物ガラス系固体電解質を用いた全固体リチウム – 硫黄系電池に関する研究動向を概説し、その電池の課題と解決に向けたアプローチについて紹介する。特にその高エネルギー密度化にむけた取り組みについて詳しく述べる。