第1部 素材の触知覚メカニズム (粗さ、硬軟、摩擦、温冷) の基礎
(2017年10月23日 10:00〜11:30)
素材の触知覚に関する基本要素である、粗さ・硬軟・摩擦・温冷の知覚メカニズムについて、接触の機械力学・心理物理学・神経生理学の観点から基礎を解説いたします。
素材の触知覚の基礎を幅広く理解して頂けます。特定の素材や製品についてではなく、万事に応用可能な事項についてお話します。
- 素材知覚の5次元
- 種類の粗さ知覚
- マクロな粗さの知覚原理
- ミクロな粗さの知覚原理
- 摩擦知覚の原理
- 表面粗さと摩擦の関係
- 硬軟の知覚原理
- 温冷の知覚原理
第2部 触覚センサによる手触り感数値化の実現に向けた触覚情報処理基盤技術
(2017年10月23日 12:10〜13:40)
本講座では、触覚センサ、触覚センシング技術の発展により実現が期待される「手触り感の計測」ならびに関連する触覚センシングの現状について解説します。
これまで多くの技術者・研究者によって手触り感の計測が試みられて来ましたが、人間の指先に及ぶ能力をもった触覚センサが存在せず、今なお挑戦的開発が続けられています。
ここでは、手触り感の計測に求められる技術的挑戦課題を解説し、それに向けた触覚センサの現状と先端的な研究の現状等を踏まえながら、「手触り感計測技術」の将来と応用・市場の可能性について講演します。
- 触覚センシングと人間の触覚
- センシングとセンサの役割
- 触覚センサと触覚センシング
- 物体認知 (マクロ触覚) と手触り感計測 (マイクロ触覚)
- 触覚センサ技術
- フレキシブルエレクトロニクス
- 半導体MEMS技術
- 広域触覚センサの現状
- 高密度触覚センサの現状
- 「手触り」検知と触覚センサ
- 手触り感計測の現状
- 触覚センサで物体を探る (マクロ触覚)
- マクロ触覚とは何か
- マクロ触覚デバイスの事例1 (膜状の連続面型高解像触覚)
- マクロ触覚デバイスの事例2 (暖かみを調べる熱触覚)
- マクロ触覚デバイスの事例3 (形と滑りを検知する3軸触覚)
- 触覚センサで手触り感を得る (マイクロ触覚・ナノ触覚)
- マイクロ触覚とは何か
- マイクロ触覚デバイスの事例1 (表面手触りの違いを視覚化)
- マイクロ触覚デバイスの事例2 (柔軟な布地の性質を測る)
- 究極の触覚を目指すナノ触覚技術
- 「手触り感計測技術」の将来展望
第3部 ヒトの指を考慮した触感センサ及びディスプレイの開発と脳機能計測
(2017年10月23日 13:50〜15:20)
触感に関連した技術の代表的分野や、その歴史的展開、現状から今後の課題までを効率よく知ることができる。それぞれの分野の第一人者による解説で、最先端技術やその動向を知ることができる。今後の研究や商品開発の参考になる事例を確認することができる。
- 奈良女子大学家政学部で始まった布の風合いと触り心地に関する研究
- 機械工学と家政学の融合による草創期触感研究の成果であるKES
- 情報技術の導入による新たな触感研究のはじまり
- ロボットの触感、人間の触感
- KESを補完する触感センシング技術
- 触感センシングのニーズと今後の課題
- 人間の触感の特性
- 触感呈示技術のさまざま
- 触感ディスプレイの製作と評価実験
- 脳における触感認知の問題
- f-MRIと触感ディスプレイを用いた計測実験
- 全体のまとめ
第4部 物理量から具体的触感、抽象的触感の推定
(2017年10月23日 15:30〜17:00)
触感を物理データから推定し、工学的に利用するには我々が持つセンサの特性を正しく理解する必要があります。
生理学的な知見からその特性を工学的に理解して、どのように利用するべきかを解説します。また、数ある触感用語を如何に整理すべきかも説明します。
- 触感とは?
- 触感の定義
- 触感の重要性
- ヒト指の構造と機械受容器
- ヒト指の構造
- 機械受容器の種類と特性
- センサとしての機械受容器の工学的理解
- 触感表現の整理
- 触感を表現する用語
- 触感知覚構造の階層的理解
- 物理量からの触感の推定 (具体的事例を通して)
- 官能評価と結果の整理
- 触感測定システム
- 機械受容器の発火状態の推定法
- 触感推定の結果