(2017年10月4日 13:00~14:30)
消化管手術は、腸管の切除、再建を必要とする術式が多く、また準清潔手術から汚染手術まで様々な状況で手術を行うことが多いため、再建部位や癒汚染状況に応じて癒着防止材の使用を検討しなくてはならない。また食道、胃、直腸での手術では深部操作が必要なため癒着防止材や止血材の貼付に難渋することも多い。また腹腔鏡下手術の普及に伴い、それらに特化した癒着防止材、止血剤とする場面の理解や適切な貼付方法の検討が必要である。
(2017年10月4日 14:45~16:45)
外科手術において、癒着防止材や止血材料は非常に重要であるが、腹腔鏡や内視鏡の普及により癒着防止材・止血材料の操作性と被覆性制御が特に重要になってきている。 操作性の観点から、生体内で架橋可能な様々な”in situ架橋ハイドロゲル“が報告されている。骨格ポリマーとして、多糖類、タンパク質、PEGなどの合成高分子などが用いることが可能である。架橋反応としては、生体直行性反応や光化学反応、イオン架橋、酵素反応など多岐に渡った反応が利用できる。さらに投与法として、ダブルシリンジ、スプレーなどが選択される。 一方で被覆性の観点からは、貼付可能なシート材料が優れている点も多々見られる。シート材料は、コラーゲン系の止血材や、ヒアルロン酸等から成る癒着防止材など、すでに幅広く用いられており、臨床での使用実績も多く、腹腔鏡下でもイントロデューサーを用いた投与法が様々に検討されている。
(2017年10月5日 10:00~11:30)
頭蓋骨の中で手術を行う脳神経外科手術においては、止血は合併症回避のために最も重要である。本講座では、脳神経外科手術における止血操作の実際、止血剤の使用方法の現状と問題点について解説する。 脳外科手術において、再手術を前提としない場合においては、癒着は現実的に問題とならない。癒着によって髄液漏が予防される。時に再手術を要する場合には大きな問題となるが、癒着防止剤としての不用意な人工物の使用は感染の原因となる。癒着に対する脳神経外科領域での考え方を解説する。
(2017年10月5日 12:15~13:45)
現在まで、止血剤、癒着防止材は 単独で使用されているが、実際の手術では同時に処置されることが望まれる。スピーディで確実な止血は術後炎症反応が少なくなり、同一成分で癒着防止処置ができることが理想とされる。 また近年では、内視鏡下手術が主流となり、消化器ファイバースコープを用いた粘膜はく離術が増加してきている。 操作が簡単で、腹部手術でのラパロスコープでの使用にとどまらず、各治療領域で低侵襲手術への適応が重要である。
(2017年10月5日 14:00~15:30)
近年、我が国では少子高齢化、晩婚化に伴い、出産年齢が高齢化している。一方、子宮筋腫は、良性であるにもかかわらず、再発も危惧される婦人科疾患である。そのため、数回の手術を必要とする可能性も否めない。再手術の場合、目的とする手術を完遂するために、前回手術の癒着剥離を行わなければならず、手術時間の延長や入院期間の延長を来すため、術後癒着防止は重要課題である。本講演では、子宮筋腫の手術においての腹腔鏡手術の有用性と、癒着防止材の使用法などを、実際の手術ビデオを交えて供覧する。
(2017年10月5日 15:45~17:15)
安全な合成高分子を特殊な方法で混合し、生体組織に強く接着し、さらに生体内で可溶化して局所から消失する「生体組織接着性ゲル」を開発した。その背景、理論について解説し、止血材、癒着防止材としての機能、臨床での効果、商品化の経緯を紹介する。