本講演ではバイオ後続品 (特に抗体医薬) の開発を企画している企業を対象に、製造委託CMOや提携先企業を選択する基準、原薬及び製剤の製造と品質管理、同等性/同質性の確保に必要な特性解析、規制ガイドラインにおける留意点等について概説する。
- バイオ後続品における同等性/同質性
- バイオ後続品製造のCMC戦略
- CMOや提携企業先を選択する際の留意点
- 国内・海外のCMO
- 原薬製造プロセスの開発 (前臨床、臨床から市販へ)
- バイオ後続品の製造と品質管理 (抗体医薬品を例として)
- ICHガイドラインとCTD Module3 (Quality)
- 抗体医薬品の品質評価のためのガイダンス (厚生労働省)
- モノクローナル抗体生産のための遺伝子発現構成体の構築
- 細胞基材の樹立
- 培養及び精製
- ウイルス安全性
- プロセス・コントロール
- 製法変更
- 特性解析
- 規格及び試験方法
- 標準物質
- 製剤開発
- 安定性と輸送 (特に液体製剤品)
- 同等性/同質性の確保に必要な特性解析データの具体例
- 構造
- アミノ酸組成及びアミノ酸配列
- N末端及びC末端アミノ酸配列
- ペプチドマップ
- スルフヒドリル基及びジスルフィド結合
- 糖鎖
- 人為的修飾
- 物理化学的性質
- 質量分析
- 分光分析 (円二色性分析など) や示差走査熱量測定
- 電気泳動パターン
- 液体クロマトグラフィー
- 生物学的性質
- 結合特性
- 機能的特性
- ADCC及びCDC活性と糖鎖構造
- 不純物
- 凝集体
- 重合体及び切断体
- 不溶性微粒子
- ジスルフィド結合形成不全体
- H鎖C末端リジン欠失体
- メチオニン残基の酸化体
- 脱アミド体及び異性化など
第1部 『バイオ/抗体医薬品の品質分析試験と原薬不均一性評価技術の開発』
(2017年10月27日 10:30~13:00)
治療用モノクローナル抗体は、その効用と安全性を保証する必要があることから、厳格な品質管理が行われている。その中心は、多角的な理化学分析試験の実施である。分子構造、物理化学的性質、生物学的性質、不純物などの項目に関して、最新の科学的知見に照らし妥当であり、高い信頼性の結果を与える分析方法を用いて、あらかじめ定めた規格に合致していることを確認することが求められている。
本講演では、バイオ/抗体医薬品の品質分析に関する現状を概説するとともに、今後の課題と最新の技術開発状況に関して紹介する。
- バイオ医薬品の品質分析試験
- 品質分析の目的と原則
- バイオ医薬品のICH品質ガイドライン
- 品質分析と医薬品開発
- 申請前/申請後に行われる品質分析
- バイオ医薬品を構成する成分
- バイオ医薬品の特性解析
- 不純物・混入汚染物質の分析
- バイオ医薬品の規格及び試験方法
- 原薬・製剤の安定性試験
- 品質管理からみた化学合成医薬品との違い
- バイオシミラーとジェネリック
- 分子不均一性
- バイオシミラーの開発状況
- バイオシミラーのためのガイドライン
- バイオシミラーの有効性と安全性
- バイオ医薬品の品質分析の課題
- FDAの指摘
- 品質分析のフロンティア (翻訳後修飾、凝集化、立体構造変化)
- 研究開発の現状
- 標準物質開発
- 免疫原性のリスク管理
- 原薬不均一性評価技術の開発
- 次世代抗体医薬等の製造技術プロジェクト
- 次世代バイオ医薬品製造技術研究組合
- バイオ医薬品の立体構造変化に伴う不均一性評価技術の開発
第2部 『凝集体、HCPなどに伴う免疫原性の発生・評価と低減・回避』
(2017年10月27日 13:50~16:30)
本講座では、バイオ医薬品の副作用の1つである免疫原性について、想定される発生機構と発生した際の問題点、を説明した後、免疫原性の評価法さらには、低減方法を紹介する。FDAなどから発表されているガイダンスやExpectationsなどについても適宜紹介しながら、高品質で安全なバイオ医薬品に必要となる事項を説明する。
- 抗体産生のメカニズム
- T細胞依存的抗体産生
- T細胞非依存的抗体産生
- 免疫原性の評価法
- 各手法の原理
- 各手法の特徴・比較
- 各手法の測定例
- 免疫原性の要因となり得る因子
- アミノ酸配列
- 化学変化、修飾状態
- 凝集体
- HCP
- 免疫原性を低減させる方法
- 免疫原性の予測法
- in silico
- 細胞アッセイ
- 動物モデル