本セミナーでは、高熱伝導化を図るためのフィラー添加の基礎から解説し、熱伝導性材料の最適設計、フィラーの選定について詳解いたします。
(2011年5月26日 10:30~11:50)
近年、情報の大量伝送、電子機器の小型化、照明機器の高性能化等の急速な進展に伴い、デバイスからの発熱量は増大の一途をたどっており、放熱が重要な課題となっている。 樹脂は材料コストの観点、成形・加工の容易性から回路用基板材料、電子部品の封止材や電気絶縁材料として広く利用されてきた。一方で、樹脂の熱伝導率の向上のために、シリカ (SiO2) やアルミナ (Al2O3) 等の酸化物フィラーが添加されている。 現在、樹脂の更なる高熱伝導率化のために窒化物系フィラーに注目が集まっている。 本講演では、窒化物フィラーの中でも幅広く利用されている窒化物、窒化ホウ素 (BN) や窒化アルミニウム (AlN) に着目し、これまでのフィラーに関する研究開発について解説する。 また、窒化物フィラー/樹脂複合材の高熱伝導率化に向けた最近の研究開発動向についても報告する。
(2011年5月26日 12:30~13:50)
絶縁系で2~最大18W/m・Kの高熱伝導を発揮する熱可塑性成形材料〈ジーマ・イナス〉に用いたフィラー型熱伝導構造は様々なバインダ・システムに応用できる。 フィラー技術から出発して各種の絶縁系 高熱伝導材料を開発する材料設計思想について、熱可塑系の実用事例を始め、封止・接着用液状エポキシの2液型で最大7.3W/m・K、1液型で最大4.0W/m・Kという最高レベルの絶縁系熱伝導材料〈リコ・ジーマ・イナス〉の特性を中心に紹介する。
(2011年5月26日 14:00~15:20)
フィラー含有樹脂の熱伝導性を評価する場合、フィラー単体の熱伝導性及び異方性を含めたフィラー含有樹脂全体の評価をそれぞれ行うことが重要と考えられる。従来の測定方法では、フィラー単体の評価を行おうとした場合、微小な領域の測定自体が難しく、フィラー含有樹脂全体の熱伝導性を評価する場合、同一ワークで熱伝導率の異方性を精度高く評価することは難しかった。 本発表では、マイクロメートルオーダーの熱伝導性評価が可能なサーマルマイクロスコープと、バルクの熱伝導異方性が評価できるサーモウェーブアナライザーの、測定原理、実用例、測定の実際を紹介する。
(2011年5月26日 15:30~16:50)
射出成形用材料として適用可能な高熱伝導性ナイロン樹脂コンパウンド材の概要、技術課題、開発ポイントを述べ、樹脂設計指標に関わるコンパウンド組成と流動特性の関係、代表的物性、開発事例を提示し、あわせて防水に強い封止成形技術のご紹介、解説を行なう。