本セミナーでは、3名の講師がグラフェンの基本的な構造・特性・作製技術から電池やセンサなどへの応用展開までを幅広く解説いたします。
(2017年10月27日 11:00~12:30)
グラフェンは、登場してまもないが、今までにない構造と機能をもち、新たな機能を持つ材料やデバイスを生み出す素材となることや既存材料に添加・複合化して高性能・高機能化させ、付加価値を格段に向上させる素材である。カーボンナノチューブなどのナノマテリアルと決定的に異なるのは、グラフェンはグラファイトから容易に低コストで量産できるため、グラフェンを用いた材料や部材・デバイスの実用化・市場化が容易であり、社会や産業に大きなインパクトを与え、確実に貢献できることである。 本講演では、 (1) グラフェンに関する基礎的な知識、即ち、特徴的な構造とそれに由来する物性・機能、他の物質にない特異性等について解説する。 (2) グラフェンを材料化やデバイス・部材化プロセスとそのキーとなる技術について説明する。 (3) グラフェンを添加や複合化に用いて既存材料を高機能化・高性能化させた事例とそのコストパフォーマンスを示す。 (4) グラフェンの特性を活かした新規なあるいは特殊な構造化とそれにより生み出された新機能に関する最先端研究例を紹介する。 (5) グラフェンが近い将来に社会や産業に与えるインパクトを予想する。 このような講演により、参加者がグラフェンを身近な素材と感じられ、商品開発や製品向上の道具と思うようになることを目的としています。
(2017年10月27日 13:15~14:45)
グラフェンは新しい材料であるにも関わらず、工業利用が一部始まっている。世界各国で開発競争が繰り広げられているグラフェンについて、実際はどのような材料であるのか、工業利用を目指した合成技術、および量産技術確立への展望などについて議論する。またグラフェンと関連する二次元材料との組み合わせもたいへん重要であり、これについても織り交ぜて講演する。さらに現在進められている用途開発と直面する課題について検討し、グラフェンの可能性と今後の展開について把握する機会としたい。
~センサー開発を中心として~
(2017年10月27日 15:00~16:30)
グラフェンは、炭素原子とその結合からできた1原子層の炭素層であり、蜂の巣格子状に配列した六角形格子構造をしている。そのため、そのバンド構造より移動度が驚くほど高くなる。さらに、グラフェンは、バルク部分がない完全な2次元物質であるので、グラフェンの表面への分子の吸着がグラフェンの性質に与える影響は、3次元物質に比べて非常に大きいことが予想できる。本セミナーでは、グラフェンの持つ構造、電気特性等について説明し、その特徴を生かしてナノデバイスを作製し、応用技術の中でセンサーの開発を中心に紹介する。また、カーボンナノチューブの特性、応用例も説明し、グラフェンと比較する。