LCA (ライフサイクルアセスメント) で評価する時代に突入した。技術者は原材料の生い立ちから廃棄 (リサイクル) 迄の使用エネルギーや二酸化炭素 (CO2) を含む環境負荷物質の排出量を配慮して設計するようになっている。特に自動車等の移動物体は、軽量化が必要である。
電気自動車の増加に伴い、鉄やアルミニウム等の金属から炭素繊維を用いた軽量高剛性部品の研究や、窓ガラスの樹脂化による軽量化検討が進んでいる。ポリプロピレン (PP) 射出成形部品は、軽量でかつリサイクルが容易であるため増加している。超臨界流体 (SCF) を用いた発泡技術、電子線架橋技術による樹脂改質、無溶剤化による乾燥プロセスの抜本的な見直し等が進んでいる。こういう変化を察知して製品開発をする必要がある。
本講座では環境対応のための技術トレンドを明確にして、熱可塑性樹脂層やTPO等の熱可塑性エラストマーの応用と展開を解説する。
- 環境と最近のトレンド – 現状と将来像の把握
- NPE2009
- ANTEC2009
- 人と車のテクノロジー展2010
- K2010
- 中国、韓国、マレーシア等近隣諸国の状況
- まとめ
- LCA (ライフサイクルアセスメント)
- 軽量化
- バイオ
- VOC (ボラタイルオーガニックコンパウンズ) 等
- 熱可塑性エラストマーの概要
- 従来タイプ
- オレフィン系
- スチレン系
- ウレタン系 : TPU
- ポリエステル系 (TPEE)
- 塩ビ系 他
- 新規熱可塑性エラストマー
- Dow Chemical
- LANXESS (レバプレン)
- 電気化学工業 (新規スチレン系熱可塑性エラストマー)
- 三井化学 (ノティオSN)
- 従来材から熱可塑性エラストマーへの移行
- 軟質塩ビからの代替え
フタル酸エステル系可塑剤=内分泌撹乱物質の疑惑から毒性とアレルギー物質として懸念される。
塩ビ=ダイオキシンの悪いイメージが定着してしまった事により軟質塩ビは非塩ビ化が進む。
自動車や住宅等の密閉空間で顕著。
- 脱溶剤化プロセスの時代へ
- ウレタン合皮の脱溶剤化への流れ:DMFフリー
- 表面処理剤の水性化動向:NMPフリー
- UV・EB硬化塗料
- 熱硬化性樹脂・ゴムからの代替え
ホルムアルデヒド等のVOC問題、リサイクル性、架橋反応による低生産性、臭い、大量の熱安定剤処方による白化現象等の問題を解消。
- 省スペース・省エネプロセス
オープンプロセス (カレンダー成形、コーティング成形、パウダースラッシュ成形) から
クローズドプロセス (射出成形、押出成形) /オーブン (乾燥炉) レスプロセスへ
- 各分野への熱可塑性エラストマーの適用
- 自動車分野
- 自動車内装表皮材向け熱可塑性エラストマー
IP (インストルメントパネル) ,ドアパネル,コンソールボックス蓋,シートバック等成形品への適用の留意点
- 配合 (TPOの選定/ドアアッパー、コンソールボックス蓋は耐油性が要求される)
- 押出し成形 (押出機、Tダイの選定/リサイクル向上が利益を出すためのポイント)
- コロナ処理 (コロナ処理機の選定)
- 表面処理 (表面処理剤と処理機の選定/水性化)
- 絞押 (ツートーン表現方法)
- 成形
- TOM工法等の真空成形
- 低圧射出圧縮成形
- パウダースラッシュ
- 物性
- 耐光
- 耐
- 低エミッション
- シートカバー (座席) ,トノカバー等 レザー類への適用の留意点
- 配合
- 耐摩耗性 (架橋タイプ表面処理剤で補完)
- 防汚性 (白系のシートの増加)
- 外装 (グラスランチャンネルのTPV化 他)
- エンジンルーム (射出成形可能なHNBRの登場)
- 住宅
- 電気
- その他
- 最近の開発技術と今後の展開
- 射出成形 射出発泡成形等
- SCF (超臨界流体) の応用
- 熱可塑性エラストマーへの電子線照射技術
- 熱可塑性エラストマーの発泡技術
- バイオエラストマーの開発状況
- 炭素繊維強化プラスチック (CFRP) の応用
- 2011年の展望