適合性書面調査・GCP実地調査 (以下、GCP査察) の準備は事前提出資料やチェックリストが公開されていることから、査察の事前準備は可能です。
しかし、データ固定や総括報告書の作成を経て、当局に承認申請をした後から準備を開始するのでは、本質的な準備はできません。GCP査察の準備は、試験開始準備から始まります。試験の準備から終了まで、常にGCP査察を意識した試験の運用が、重要かつより効率的な対応となります。さらにGCP要件が何を守るためのものかを理解すれば、結果的にGCP査察の対応を容易にし、実践場面での応用まで可能になります。
本講義では、治験を実施するうえでGCP査察を意識した運用を紹介します。そのためには試験の本質と運用、品質に対する考え方の理解が必要であり、それらの観点から治験依頼者、実施医療機関の立場で査察時に特に重要と思われる項目について解説します。
- Part 1. GCPが要求するもの
- GCPの背景
- 関連した規制と概念
- ICH-GCP
- CFR
- ISO9001
- GAMP-5 等
- 覚えないといけない要件とそうでない要件
- 臨床試験の本質と運用を理解する
- 依頼者
- 実施体制
- Keyとなる文書
- 治験実施計画
- 症例報告書 (CRF)
- 総括報告書
- その他のGCP必須文書
- 医療機関
- 医療実施体制
- 責任医師とスタッフ
- IRB (委員と事務局)
- 薬剤・資材・記録の保管
- 電磁化対応
- 臨床試験における品質とは
- 品質管理の考え方、品質確保に必要なもの
- Part 2. GCP査察を意識した運用のポイントと事例
- 治験依頼者
- 手順書と必須文書
- 施設選定
- 選定のポイント
- Risk Based Monitoring (RBM) を意識した運用
- 治験薬
- 安全性情報
- モニタリング、監査
- 情報交換とは?
- 社内と医療機関での対応 (Onsite monitoringとOffsite monitoring)
- トレーニング (自分と相手) と記録
- 業務の委託
- 実施医療機関
- 治験関係者の責務
- IRBの役割
- 被検者への対応
- 臨床試験・実施計画書の理解
- 同意の説明と確認
- 治験薬、併用薬
- 有害事象の対応
- 実施計画書からの逸脱
- 記録の作成と保存
- 原資料の考え方:ALCOAの理解と運用のギャップ
- データマネジメントと症例報告
- 必須文書の作成