本セミナーでは、シリコン系負極の膨張を抑制する手法を詳解いたします。
(2017年10月10日 10:00~11:30)
従来のリチウム二次電池用電極は、粉体の混合、塗工というプロセスを経て電極となります。 本講座では、古くから工業的に用いられている電解析出法によって直接電極を作成するプロセスを紹介すると共に、次世代負極材料として期待されているSi系負極の長寿命化および実用化へ向けた取組を紹介します。
(2017年10月10日 12:10〜13:40)
Siはその高容量の魅力から次世代Li二次電池の負極材料の有力候補と目されている。しかしながら、乏しい電子伝導性や激しい体積変化のため、充放電サイクルに伴いその容量が大きく低減してしまう。そこで、Siの欠点を補う性質を持つ種々の金属や化合物をSiとコンポジット化させた活物質粉末を創製した。 一方、演者らが初めて採用したガスデポジション (GD) 法で得た電極は、活物質粒子同士および活物質と集電体とを強く密着させることができるため集電性に優れ,また活物質層内部に適度な空隙を持たせることができるため崩壊しにくいという特長を持つ。得られたケイ素系コンポジット粉末を原料としてGD法を用いて電極化したところ、高容量と高サイクル安定性を兼ね備えた非常に高性能な負極が得られた。また、ケイ素負極の潜在能力を一層引き出すために、添加剤やイオン液体を用いて電解液の最適化も行った。
(2017年10月10日 13:50〜15:20)
リチウムイオン電池の高容量化を図るため、従来の黒鉛負極の数倍の高容量化が可能なシリコン系負極の研究開発が活発に進められている。ただ、電極バインダの結着強度が弱いと集電体から活物質層が剥離しやすく、サイクル劣化が大きいなどの課題がある。Si系負極の長寿命化を図るためには、充放電しても導電ネットワークを維持する技術が重要となっている。 本講では、各種の電子伝導性の異なるSi負極を用いて電池性能評価と電池安全性評価を行い、電極の導電性が電池特性と安全性に及ぼす影響について紹介する。また、優れた無機バインダを用いたSi負極の電極特性と安全性についても解説する。
(2017年10月10日 15:30〜17:00)
リチウムイオン電池用新規負極材料としてSiが注目されてきた。 Si負極の性能調査としては、充放電試験による劣化挙動の解析は一般的に行われてきたが、充放電時におけるSi材料そのものの構造変化については十分に把握されているとは言い難い状況にある。 そこで、Si材料の充放電挙動について電子顕微鏡を用いて微細構造の変化を詳細に調べた結果を発表する。 本発表では、Si材料へのLiの挿入脱離現象について、結晶学的なアプローチも含めて考察している。 さらに、Siの微粉化や表面被膜生成などの劣化現象に関係する副反応がどのようなスキームで発生しているかについて微細構造分析の立場で評価した例を示す。