第1部 ケミカルストレスクラック (ケミカルクラック) の発生機構、評価法とその対策
(2017年10月16日 10:30〜12:30)
ケミカルストレスクラック (ケミカルクラック) は、応力と化学物質の共同作用によって発生するクラックのことである。金属材料で見られる応力腐食割れと現象的には類似しているが、プラスチックの発生機構は異なっている。ケミカルクラックはプラスチックの種類と薬品、応力の負荷様式、成形加工要因、使用条件などが複雑に関係して発生する。 本講では、ケミカルクラックの発生機構と評価法、材料改質法、トラブル事例、防止対策などについて解説する。
- プラスチックの特性とケミカルクラック
- 薬品に対するプラスチックの基本挙動
- ケミカルクラックとは
- ケミカルクラックの発生機構
- プラスチックの種類とケミカルクラック性
- 溶解度パラメータ (SP値) とケミカルクラック
- 定ひずみと定応力下のケミカルクラック特性
- ケミカルクラック性の評価法
- JIS試験法
- ベントストリップ法
- 4分の1楕円法
- 曲げひずみ法
- C形試験片法
- ケミカルクラック性の実用評価法
- 実用上の課題
- 定ひずみ試験法
- 評価実施例
- 耐ケミカルクラック性の材料改質
- ポリマーアロイ材料
- 繊維強化材料
- ケミカルクラックトラブルと対策
- 応力要因
- 成形時の残留ひずみ
- 二次加工時の熱ひずみ
- 製品に負荷される外力 (定ひずみ、定応力)
- トラブル事例
- 非晶性プラスチック製品
- 結晶性プラスチック製品
- 未然防止対策
- 事前チェックによる薬品変更
- 応力軽減 (成形条件、アニール処理)
- 材料変更
第2部 エポキシ樹脂の酸・アルカリ環境下における耐久性
(2017年10月16日 13:15〜14:45)
プラスチック材料は、酸やアルカリ水溶液環境下でも腐食に耐えるといわれるが、溶液が浸透すると機械的強度が低下し、さらに高温高濃度といった厳しい環境に長時間曝されると加水分解などを起こして劣化する。 ここでは、酸・アルカリ水溶液環境における現象を腐食劣化と定義してその劣化形態に基づいた考え方と劣化機構について解説する。
表面から溶出していく「表面反応型」、 表面に劣化した生成物が層状に形成される「腐植層形成型」、および 環境液が先にしみ込んでから劣化反応が始まる「全面浸入型」 を定義し、 この劣化形態に基づいた劣化メカニズムや寿命の考え方を示す。
ゼオライト、炭素、シリカ、MOFなどを用いた無形材料系の分離膜の気体分離に対する現在の開発状況を、膜の合成方法の基礎から、様々な応用分野の広がりを知ることができる。また、蒸留など他の分離技術とのハイブリッド化による高効率分離手法についても知ることができる。
- 耐食樹脂の化学構造と特徴
- 耐食性樹脂の種類と化学構造
- 化学構造と耐食性
- 耐食FRP
- プラスチック材料の腐食劣化
- 耐食用途への適用事例
- 酸・アルカリ環境下の劣化事例
- 物理的劣化と化学的劣化
- 物理的劣化
- Fickの理想拡散とCaseⅡ
- 可逆性
- フィラーの効果
- 化学的劣化
- 化学的劣化の3形態
- 表面反応型
- 腐植層形成型
- 全面浸入型
- 劣化の考え方と寿命推定法
- 統一的な劣化機構の解析
- 加速因子とアレニウスプロット
- マスターカーブと寿命予測
第3部 プラスチック成形品の破損トラブル (事例紹介とその対応)
(2017年10月16日 15:00〜16:30)
公設試験場に持ち込まれるプラスチック成形品の破損トラブルの中から特徴的なものを紹介するとともに、トラブル発生の原因と試験場・企業両者の対応について解説します。
- はじめに
- プラスチック成形品と破損トラブル
- 破損トラブルとプラスチック
- 破損トラブルを起こしやすいプラスチック
- 環境応力割れと割れを起こす要因
- ポリカーボネートとABS樹脂
- その他の材料
- 破壊要因別に見る破損トラブル事例の紹介
- 材料に起因する破損
- 設計に起因するもの
- 保管、前処理に起因するもの
- 成形条件に起因するもの
- 加工条件に起因するもの
- 輸送、保管状態に起因するもの
- 使用環境に起因する劣化
- 破損トラブル発生時の心得
- 地道に一つ一つ把握すること
- 想定外のケースもありことを認識しておくこと
- 一つの試験だけで全ての情報は得られません
- できるだけ比較サンプルを