(2017年9月12日 10:00〜11:30)
生体ガスの意義、測定法、あるいは気体採取やそれに伴う問題点などについて述べる。現在測定されている呼気成分には、酸素、二酸化炭素の他、水素、メタン、一酸化炭素、一酸化窒素、硫化水素、アンモニア、シアン化水素等の他、揮発性有機化合物として、アセトン、イソプレン、等がある。我々は以前から呼気水素を測定してきた。腸内発酵の指標で、消化管機能や乳糖不耐症の診断に用いられている。最近、分子状水素が抗酸化作用を有し、水素水投与が酸化ストレスを原因とする疾患に有効なことが示されつつある。それまで相対値がわかればよかった呼気水素も、今後は絶対値が必要になってくるであろう。その際に必要な標準値や呼気採取の問題点について触れる。また、その他の生体ガスについては、疾病との関連、どの程度診断可能かなどについて解説する。 呼気採取の課題として、肺胞から放出されるガス種については終末呼気が採取できるかどうか、気道からのものについては気道流速を一定にできるかどうか、等が問題である。また、大気中に含まれる物質による妨害や、バッグ内の汚れ、バッグからの漏れなども結果を誤らせる原因の一つとなる。以上、生体ガスと疾病診断についての現状を解説する。
(2017年9月12日 12:10〜13:40)
(2017年9月12日 13:50〜15:20)
(2017年9月12日 15:30〜17:00)
ヒト皮膚から放散する生体ガス (皮膚ガス) の存在が明らかになり、皮膚ガスを非侵襲・非観血的に測定することにより、ヒトの生理的・身体的状態を診断できる可能性が広がってきた。 皮膚ガスは微量であるため採取・分析が困難であったが、講師らは、皮膚の表面に設置するだけで微量な皮膚ガスを簡便かつ定量的に捕集するパッシブ・フラックス・サンプラー (PFS) を開発した。さらに皮膚から放散されるアンモニアの臨床意義に着目し、色の変化でアンモニア放散量をモニターする腕時計型インジケータを開発した。 本講演では、測定技術の紹介にとどまらず、皮膚ガスを測定する意義について研究例を通じて述べたい。