カーボンナノチューブやグラフェンなどのナノカーボン材料を液体中に分散させるには、凝集体をほぐし、個々に遊離したナノカーボンを再凝集させないように液体中で安定化させる必要がある。もし、どのくらいの力でナノカーボンが凝集しているかが見積もられれば、それ以上の力を与える事でほぐすことが可能となる。しかしながら、あまり大きな力を加えるとナノカーボン自体が損傷されるので、その影響も見積もらなくてはならない。安定化においても万全策はないので、これまで培われてきた手法の長所・短所を見極めて、目的に合った最適手法を選択する必要がある。
また、分散したナノカーボン材料を評価することも重要である。ここでは、一般の研究開発現場で使用されている測定法を中心に説明する。また、最近開発されたばかりの分散液中の直接観察法についても紹介する。
- ナノカーボンの種類
- なぜナノカーボンがおもしろいか
- フラーレン
- 単層および多層カーボンナノチューブ
- 極細炭素繊維
- グラフェン
- ナノカーボン分散の基本的操作
- 凝集体をほぐす
- 遊離したナノカーボンの分散安定化
- どのくらい強く凝集しているのか?
- ファンデルワールス相互作用とは?
- ナノカーボンのファンデルワールス相互作用
- 単層カーボンナノチューブ
- 多層カーボンナノチューブ
- グラフェン
- 疎水性相互作用
- どのくらいのエネルギーでCNTは切れるのか?
- 長さ依存性
- CNTの引張り強度
- ほぐす操作はどのくらいのエネルギーを与えているのか?
- ポリマーとの混錬
- 超音波照射
- 超音波照射の効率化
- グラフェンをほぐす
- 超音波法
- 酸化法
- インタカレーション法
- 速度論的安定化
- DLVO理論
- 単層CNTのShultz – Hardy則
- 高粘性媒体
- 希薄化
- エネルギー的安定化
- 静電的斥力
- 界面活性剤の臨界表面凝集濃度
- 立体障壁
- 汎用分散剤の例
- ナノカーボン特有分散剤の例
- 疎水性相互作用の最小化
- 表面粗さ
- 親水基の導入
- ポリエチレングリコール鎖の不思議
- 分散に向けたナノカーボンの化学反応
- 再現性の確認された反応
- マイクロ波応用
- 市販ナノカーボンの分散
- 形状の影響
- 欠陥の影響
- 不純物の影響
- 実用的な分散評価法
- SEM,TEM,AFM
- パーコレーション閾値
- 紫外 – 近赤外吸収分光
- レイリー散乱とミー散乱
- トワイライト蛍光顕微鏡
- 液中分散ナノカーボンの観察原理
- 顕微鏡の構成
- 観察条件の最適化
- 観察例1:超音波照射
- 観察例2:還元反応