がん悪液質における臨床診断・治療と治療薬開発

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本セミナーでは、がん悪液質について最新の基礎研究動向と、臨床現場で求められる今後の新薬像について詳解いたします。

日時

開催予定

プログラム

第1部. がん悪液質の早期診断、治療への早期介入の重要性ならびに診断を行うための種々のマーカーの把握

(2017年8月23日 10:30〜12:30)

 2016年12月、がん患者の生活の質 (QOL) 向上に資する支持・緩和療法研究の重要性を謳った「改正がん対策基本法」が公布され、それに基づく第3期がん対策推進基本計画が今夏策定の見込みである。同計画では患者本位の医療そしてがんとの共生が大きく打ち出されている。がん患者のQOL向上のために重要なものの一つががん悪液質の克服である。がん悪液質は患者のQOLを低下させるのみならず、抗がん剤などの効果も低下させる。がん悪液質は大きく前期がん悪液質、がん悪液質、そして治療不応性がん悪液質に分けられる。早期に対応することががん悪液質の症状改善を促すのに有効であることに鑑み、できるだけ早期の悪液質症状の把握が重要となる。  本講演では、がん悪液質を予防、治療することの重要性に加え、早期把握の重要性、さらに現在用いられている症状緩和のための方法について紹介する。

第2部. 現在解っている発症原因と病態進行のメカニズム

(2017年8月23日 13:30〜15:30)

 がん悪液質は、筋肉量及び脂肪組織の減少を伴う体重の著しい減少を特徴とする多因子性の症候群である。進行がん患者の最大80%に認められ、化学療法に関連する副作用の増加、治療コンプライアンスの低下、QOLの低下と関連し、主要な死因の一つとなる。がん悪液質は原疾患の進行による避けることができない病態と一般には理解されているが、近年になり発症原因に基づいた薬物介入試験が行われるなど関心が高まっている。  悪液質の病態は多数の臓器における複合的代謝障害と説明されている。炎症促進因子・悪液質促進因子・内分泌因子が、腫瘍、宿主、腫瘍 – 宿主間相互作用に反応して変化することに起因する。これらは、全身性炎症及び急性期反応、蛋白分解、脂肪分解、脂質動員、安静時エネルギーの増加や、蛋白合成、脂肪合成、食欲 (食欲調節ホルモンの変化に起因) の低下等、炎症性および代謝性の変化を引き起こす。本講演では、悪液質の発症原因と病態進行の機序を当センターでのデータも踏まえて解説する。

  1. がん悪液質とは何か
  2. がん悪液質の主要な機序
  3. 腫瘍由来炎症関連分子の作用
  4. 腫瘍由来悪液質促進分子の作用
  5. 全身性炎症反応
  6. 神経内分泌機能不全
  7. 代謝調節不全からみた悪液質の病因
  8. 蛋白分解
  9. 脂肪分解
  10. 腫瘍浸潤による宿主の応答

第3部. 臨床医からみた臨床試験デザインの要件と今後求める治療法

(2017年8月23日 15:45〜17:15)

 がん悪液質は、筋肉量及び脂肪量の減少、食事摂取量低下、蛋白異化亢進を呈する疾患であり、運動機能低下、全身状態悪化、患者及び家族の精神面へのダメージなどを引き起す。これらは、がん化学療法や手術施行の弊害にもなり得るため、予後に大きな影響を及ぼす。がん悪液質治療の目的は、筋肉量 (体重) の増加、QOLの改善、運動機能の維持、がん化学療法の継続、生存期間の延長などが考えられる。現状、国内外でがん悪液質を効能・効果とした治療薬は存在しない。そのため、臨床試験におけるエンドポイントも確立していない。  本講演では、がん悪液質の臨床像を整理した上で、がん悪液質を対象とした過去の臨床試験デザインを結果とともに紹介する。一方、薬物介入のみでは、がん悪液質治療は不十分であることから、運動療法や栄養指導を組み合わせた多方面からのアプローチを実践していく必要がある。今後求められるがん悪液質の治療法について、お話したい。

会場

株式会社 技術情報協会
141-0031 東京都 品川区 西五反田2-29-5
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