第1部. ドライアイの診断と治療、臨床医の立場からもとめる新薬像
(2017年8月25日 10:30〜12:00)
社会における環境の変化に伴いドライアイの概念が見直され、それに伴いドライアイの定義、診断基準が改定されました。ドライアイ診断の幅が広がった分、より正確に病態を把握した上、適切な治療が求められるようになりました。
本講演ではドライアイの治療の現状と今後の課題について、臨床医の立場からお話をさせていただきます。
- ドライアイとは
- ドライアイの定義、診断基準 (2016) について
新しい診断基準について解説します
- ドライアイの治療の現状
- TFOT (Tear Film Oriented Therapy) :眼表面の層別治療について本邦で開発をされた、ドライアイ治療薬の臨床効果を含めてご紹介をいたします
- ドライアイに求められる新薬像
- 臨床医の立場より患者の求める薬物治療について、私見を述べさせていただきます
第2部. ドライアイの原因解明とドライアイの予防・改善の創薬開発
(2017年8月25日 13:00〜14:30)
日本国内で年間1200万人ともいわれるドライアイ患者の予防・治療薬については多数販売されていますが、その効果作用は十分であるとはいえません。我々は、PACAPという神経ペプチドが涙液分泌に大変重要な働きをしていることを最近発見しました。
そこでこのペプチドの涙液分泌調節機構やドライアイの新規予防・治療につながる研究結果を報告します。さらに人での臨床応用研究についても言及いたします。
- ドライアイについての説明
- ドライアイとは
- ドライアイの現在の治療法の限界
- ドライアイ発症原因の解析
- 神経ペプチドPACAPの説明
- PACAP遺伝子欠損動物とドライアイ現象
- PACAPと水チャンネルAQPとの関係
- PACAPによるドライアイの予防・治療法
- PACAP点眼による涙液分泌促進作用
- ドライアイ動物でのPACAP点眼効果
- PACAP点眼によるドライアイの予防・改善効果
- ドライアイについての創薬展開
- 人での臨床応用にむけての創薬
- さらなる創薬への応用
第3部. ドライアイ治療薬開発における留意点
~ 「ドライアイ」を理解し、開発ターゲットを絞り込む ~
(2017年8月25日 14:50〜16:20)
ドライアイは高齢化や生活環境の変化等に伴って今後も増加する疾患であり、その病因・病態の多様性のため現行治療では未充足な患者が多く、新薬開発の重要ターゲットとなっている。
本講では、本邦初のドライアイ治療薬として承認された「ヒアレイン」の開発リーダーを担当した演者の経験を踏まえ、「ドライアイ治療薬開発」における留意点について解説する。
- 「ドライアイ」の実態を理解する
- 「ドライアイ」は症候群 (syndrome)
- 病態、患者の主訴の多様性
- ドライアイ治療薬の臨床効果の限界
- ドライアイ治療薬開発の過去・現状・未来
- 「ドライアイ」が病名として市民権を得るまで
- 「ドライアイ」治療薬の開発の経緯とエンドポイント
- ドライアイ治療薬開発の現状と将来
- ドライアイ治療薬開発における留意点
- 開発化合物の薬理作用と対象セグメントのマッチング
- 薬効薬理試験での効果と臨床効果の乖離
- 市場獲得のための留意点