本セミナーは、「蛾の目→反射防止フィルム」「蓮の葉→超撥水構造」「ナガヒラタタマムシの細胞→高感度赤外線センサ」など、生物の構造や機能から着想を得て、技術開発やものづくりに応用する「バイオミメティクス (生物模倣) 」について、日本における第一人者、下村政嗣先生が登壇するセミナーです。
バイオミメティクス (生物模倣) の現代的意義は、生物の進化適応の結果である生物多様性の背景にある“生物の生き残り戦略”が、近代科学技術の喫緊の課題である“持続可能性に向けた技術革新”を可能とするパラダイムシフトをもたらすことにある。 生物を直接利用するバイオテクノロジーとは異なるために、生物活動の背景にある原理を抽出し、その工学的な適用が求められる。膨大な生物学の知識から工学への“技術移転”を行うためには、博物館等が所蔵するインベントリーを工学的に利用できるデータベースにする必要がある。壮大なるコンビナトリアル・ケミストリーの結果であるビッグデータとも言うべき“生物多様性データベース”から、工学にとって有用な知識を抽出するためには、情報科学による活用が不可欠である。これにより、生物模倣技術は分子から生態系までを網羅する総合的な技術体系である生物規範工学となる。