(2017年8月3日 10:30〜12:00)
腎性貧血の治療の基本はエリスロポエチン (EPO) 製剤と鉄剤である。EPO製剤が臨床に使用されて30年近い年月が経過、長期作用型も新たに開発された。また、透析患者のみならず、保存期腎不全、自家輸血、未熟児貧血、骨髄異形成症候群などに適応範囲が広がった。 EPOによる鉄利用亢進で不足する鉄補充のため、鉄剤が使用は必須であるが、その至適量についてはまだ議論が多い。
(2017年8月3日 13:00〜14:30)
腎性貧血とは糖尿病や高血圧などの生活習慣病によって引き起こされる慢性腎臓病により、腎臓で十分な量の赤血球を作るために必要なホルモンである「エリスロポエチン (EPO) 」を作ることが出来なくなり、重篤な貧血となることを指す。しかし、モデル動物などの研究材料が不足しており病態が解明されておらず、未だ効果的な治療法は開発されていない。 我々の研究では赤血球産生を誘導するホルモンであるエリスロポエチン (EPO) の組織特異的な制御機構を解析した。また、腎臓特異的なEpo遺伝子転写制御機構の破壊により貧血となるマウス系統を樹立し、新たな腎性貧血マウスモデルとした。 本研究によって、腎機能障害によるEPO産生抑制機構の解明や、EPO産生を誘導する薬剤の開発などに繋がることが期待される
(2017年8月3日 14:50〜16:20)
ESAが使用可能となり20年以上が経過した。これにより以前は輸血に頼っていた末期腎不全患者の貧血治療は激変した。一方で、ESA治療に伴う赤芽球癆の発症など新たな問題も浮上した。 本講演では、ESA製剤登場後の貧血治療の変遷、各国から出されている貧血治療のガイドラインの比較、今後開発が望まれる新規薬剤について概説する。