第1部 銀、銅系導電性接着剤の特性発現機構と材料設計
(2017年8月3日 10:30〜12:10)
導電性接着剤は代表的な電子実装用材料ですが、導電機構などの学術的な基礎は必ずしも明らかになっておりません。従来は金属フィラーを高充填するための混合プロセスに重点をおいた材料開発が進められてきましたが、近年ではそれに加えて、化学的因子の影響による導電性制御についても注目されるようになりました。その結果、銀ミクロ粒子の低温焼結や大気キュア可能な銅系導電性接着剤などが開発されるようになりました。
本講演では、導電性接着剤の電気伝導特性に及ぼす化学的因子の影響に関する現状での理解について解説いたします。
- 導電性接着剤の電気伝導特性
- 導電性粒子分散樹脂の従来の解析モデル
- 動的パーコレーション
- フィラー間導電コンタクトのモデル
- 物理モデル
- 電気抵抗率の温度依存性に基づく導電機構の理解
- 動的キュアプロセス解析
- 熱分析結果と粘弾性特性変化の比較
- 動的顕微鏡観察によるフィラー再配列現象
- キュアプロセスでの電気抵抗変化
- 電気伝導特性における界面ケミストリの役割
- 界面ケミストリの電気伝導特性への影響
- バインダケミストリ①:硬化剤の影響
- バインダケミストリ②:反応性希釈剤の影響
- フィラーの表面ケミストリ③:吸着分子の影響
- 導電性接着剤の材料設計の具体例
- 樹脂バインダ中での銀ミクロフィラーの低温焼結誘導
- 大気キュア可能な銅ペースト
- 伸縮性導電性ペースト
第2部 銅系導電性接着剤の樹脂 – 金属界面特性と熱・電気特性の改善
(2017年8月3日 13:00〜14:40)
導電性接着剤の性能は、熱・電気伝導性能を担うフィラーの接触と、構造強度を担う樹脂の電極及びフィラーへの接着強度により決まる。
界面性能は、金属表面の状態によって決まる可能性があるため、銅フィラーとエポキシ樹脂を用いた導電性接着剤を例に挙げ、金属表面形状や化学的表面状態などの各要素について界面特性への影響を検証した結果を紹介する。
- はじめに
- 導電性接着剤の性能
- 樹脂 – 金属接合原理
- 熱伝導率と電気伝導率
- 金属表面形状と金属 – 樹脂界面の接着強度
- せん断強度評価
- 表面粗さと接着強度
- 応力成分と接着強度
- 金属表面状態と接着強度
- 酸化と接着強度
- シランカップリング剤処理と接着強度
- 高温保持と接着強度
- 導電性接着剤の評価
- 熱抵抗および電気抵抗の測定
- 表面処理と熱伝導率
- 表面処理と機械的疲労特性
- 導電性接着剤の伝導特性
- フィラー充填率と熱抵抗
- 熱伝導解析
- フィラー充填率と電気抵抗
第3部 低温硬化型フレキシブル導電性接着剤の開発と応用
(2017年8月3日 14:50〜16:30)
ウエアラブルエレクトロニクスの進展にともない、非耐熱性基材への適用や柔軟性といったこれまでにない特性の付与が導電性接着剤にも求められている。
本講演では、それらの特性を付与し、ウエアラブルデバイスへの適用を可能にした次世代接合材料の開発状況を紹介する。
- はじめに
- 弾性接着の概念
- IoTデバイスに向けて
- 低温硬化・フレキシブル導電性接着剤の概要
- 設計コンセプト
- 弾性接着剤の概念の適用
- 低温硬化の実現のために
- 特長
- 低温硬化性
- 柔軟性
- 接着耐久性
- 導電耐久性
- 応用例
- シールド用途
- 配線への応用
- 接続構造の構築
- 衣類への適用
- 立体への回路形成
- 今後の展望