開発段階の原薬製造法を設定するに当たっては、将来スケールアップすることを前提に、いくつかの基本的問題を解決しておかなければならない。
品質に大きく影響する最終工程には単純な加水分解、塩交換、再結晶などの簡単な工程を配置し、製造日程短縮のためにはリニア・ルートからコンバージェント・ルートに変え、高価な試薬、廃棄物処理に費用の掛かる試薬の使用を回避するなど、常に製造コスト削減を念頭に置いておく必要がある。
本講座では製造コスト削減を意識した原薬製造法設定と、実際の原価計算法を述べる。
- 第1部
- 製造法設定におけるコスト削減の方法論
- 一般的な原薬製造法設定の方法の解説と製造コストに影響する要素の説明
- 既存医薬品の製造法評価・・・主な医薬品原薬製造法の定性的評価
- いくつかの既存医薬品について、報告されている製造法を紹介し評価する。
- 第2部 製造原価と製造法評価
- 製造原価の要素 (原材料費、人件費、設備費など) について
- 原価計算の実際 (原価計算方法の説明と簡単な化合物についての例)
- 創薬段階の合成法と原価計算
- 塩野義製薬の開発品 (ガストリン受容体拮抗薬S – 0509) について創薬段階の合成法を説明し、原価計算する。
- 開発段階の製造法と原価計算
- 同じ開発品について治験薬製造の製造法を説明し、原価計算する。
- 「上記3.4.」の製造原価を比較し総括する。