従来、エレクトロニクスはシリコン半導体を基礎とした無機半導体によって、その機能発現が支えられてきました。その一方で、新しい可能性を目指して、無限の分子設計が可能な有機パイ電子系化合物を用いたエレクトロニクスに大きな注目が集まっています。特に有機発光ダイオード (OLED) は、その優れた発光特性から次世代の情報表示端末、大型TVや照明用途として大きな期待が寄せられています。 本講演では、九州大学で開発された熱活性化遅延蛍光 (TADF) による新しい発光機構を用いた第3世代OLEDの現状と今後の展開についてお話し致します。TADFは有機化学、計算科学、物性物理の連携により研究開発が大きく進展し、現在では、量子化学計算を用いた精密な分子設計によって100%の電気 – 光変換が可能となりました。