材料技術に対する期待は大きい。
日本の医療機器・ヘルスケア製品・産業のレベルは決して高いとはいず、輸出入インバランスが問題化しているが、材料など日本の基幹技術のレベルは世界的で、期待は大きい。 医療機器・ヘルスケア領域にとって、材料の重要性は大きく、製品や事業の競争力の根幹をなし、今後、その重要性はますます大きくなる。
最終製品を考える重要性
ほとんどの医療機器は複合製品で、材料は製品を構成する一部であり、製品全体の要求品質使用環境をトータルに設計し、最終製品自体を考えないと、十分な特性が得られないばかりか、技術成果や事業成果も大きくならない。 従来、材料研究者だけでなく、技術者が医療分野を理由なく特別視するあまり、製品自体を自ら考えず、医療の下請け的研究開発に甘んじていた傾向がある。製品自体を自ら考えることで材料差別化のインスピレーションが湧き、製品も飛躍を遂げる。
医療機器分野は難しくない。逆算的開発で目の前の霧が一気に消えていく。
基本を知れば、他分野に比べ、医療分野は、特別でなく、難しくもない。薬事やPLなど、バリヤーと見えるものは本質的障害ではなく、新規参入者の参入ガイトともいえる。 難しさの根源は、提供すべき医療機器の機能や目的、使用環境、開発品が解決すべき問題など、最終着地点からトータルに考えず、材料から出発して考え、途中に横たわる障害が見えないことに起因する。
材料技術者は日本の医療の救世主
医療従事者の多くが命を削って努力しているのに、日本の国民皆保険制度も、病院経営も危機的状況にある。診断・治療・介護などの生産性が十年一日のごとく停滞しているからである。 医療の生産性革新は、システム運営とともに、真に必要な医療技術製品の開発、提供にある。技術で医療に貢献、企業を発展させることは、命と産業への大きな貢献である。ぜひ、このような視点から、あなたの技術と技術者人生を命のために!
本セミナーでは、医療機器への材料展開の考え方や、必要な知識のご紹介に加え、開発が簡単になる考え方や、管理方法をご紹介したい。
- 初めに
成功の第一の鍵は先入観を脱し、実相と基本を理解すること。医療は特殊分野ではない。
- 自己紹介
~開発の履歴、材料開発者であった私を助けたもの、医療機器開発に取りつかれた訳~
- 医療・ヘルスケアは、材料高付加価値化の揺りかご
~製品が促す材料開発と、材料が促す製品開発の素敵な関係~
- 紋切型言葉遣いを脱し、内容・本質を考える
~開発力を枯渇させる言葉『ものづくり』で分かった気に~
- 『医療の設計開発・製品化を、まず設計する』
~弘法は筆を選ばずの嘘、弘法は自ら筆を作る~
- 『ナビシステムは開発の名人』
~着地点・方位・到着必須時刻を管理すれば、必ず到着する~
- 法・関連通知は最高の道案内
~品質保証の自己責任原則を理解すれば見えてくる有用性~
- 医療機器・ヘルスケア分野の特徴
~人命直結・PL・法的難度、長期間の開発、成長性、本当?~
- 医者の感覚・企業の感覚、その差の根源?
~火事を消すバケツの水に亜鉛が解け出てなぜ悪い?~
- 副作用を前提とした品質設計の考え方
~全ては生体の異物、有用性=効能・効果 – 有害性・副作用~
- 不可欠な患者説明と同意の重要性
~ヘルシンキ宣言等、人権の重視の考え方~
- Evidence Based Medicineとは
~エビデンスに基づく設計、製品仕様~使い方の全てに適用~
- リスクマネジメント・重点化・2つのトレーサビリティー
~信頼性と品質保証能力、企業も守る訴訟対抗能力の根源~
- 医療は、誰でも興味を持つ素晴らしい小宇宙
~貴方の開発製品・目標・貢献を喜々と語ると皆が協力者に~
- 医療機器・ヘルスケア製品は境界領域・複合製品
~自社でカバー不可能なことが大半。よい協業者の重要性を知る~
- 細胞、器官、個人、相手はみんな生きている
~生きているものは反応し、好き嫌いを表現する~
- 崩壊寸前の国民皆保険と医療費支払い制度
~健保点数依存は今は昔、制度変化と強まる医療効率化要求~
- 基礎知識獲得法 ~参入成功のために~
- 大きな流れを把握し、細部に至る
~医療機器等の歴史、診断・治療の技術トレンドのとらえ方~
- 医療分野参入も三現主義で 巷間の噂に騙されない
~医療現場、製品の現物、法、通知、基準の原典を見てみる~
- 自らの専門性と貢献領域の認識が最重要
~医師は診断治療の専門家、技術者は専門技術で医師をサポート~
- 医療従事者との会話力の早期獲得 (1) 基礎医学
~該当領域の解剖学、生理学の基礎を手軽なテキストで確保~
- 医療従事者との会話力の早期獲得 (2) 法・QMS
~薬機法、政省令、通知の簡単学習法とPMDAのhttp活用~
- 特許出願・他社特許対応力の自己確保法
~該当分野の特許マップ作成が早道、第一人者への登竜門~
- フェアネス、ギブ≧テイク習慣、契約感覚と人脈蓄積
~学会・研究会・個人人脈蓄積は、企業貢献を超え財産化~
- 成功する取り組み方、開発管理法
- 『壁を破るには?』一点に絞り鋭い角で押せ
~まずは分野を絞り、問題を解く。飛び抜けた集中力と卓越性を~
- 逆算的、開発計画策定は、成功の鍵
- テーマ決定・着手前に、製造販売承認申請書・添付文書案を書く
- 『想像力が創造性の根源』可能な限り具体的に
~成功状態をイメージできれば成功要件。必要アクションは具体化~
- 問題解決と真の社会貢献『技術を命のために』
~医師は命をかけ患者を救い、企業は技術力を磨き医師を守る~
- お金は血液。医療経済の流れを見逃さない。
~病院・患者・在宅等、顧客環境を知らず事業化できますか?~
- 『燕は人が見守る安全な庇でヒナをかえす』
~オープンな企業雰囲気、フェアな企業に有効な事業のネタが集まる~
- 製品・事業開発における特許の意味と活用法
~自由に技術情報を開示、優秀な協業者を募るパスポート~
- 発芽期間の重要性と発芽期間になすべきこと
~資金・マンパワー投入だけで促進不可能『見つめる鍋は煮えない』~
- 研究~事業開発の違いを押さえた管理を
~研究開発<技術開発<製品開発<事業開発の意味と役割~
- 産学・医工連携の活用と事業開発への活用法
~開発投資・開発リスクと最終製品の責任は企業。主体性不可欠~
- 材料技術者必須の開発設計技術と考え方
- 材料使用環境と材料の立ち振る舞い
~使用環境と要求性能、要求データ、一製品で異なる複数の環境に注意~
- 生体に好かれる材料・嫌われる材料、その差は?
~化学組成だけではない。表面、形状、力学特性、電位、・・・~
- 生体に好かれる材料となるために
~表面修飾、多層化、異方性、親和性、免疫調整、足場提供、弾性率~
- 有効なTQC技法『要求品質・機能・機構展開』
~材料の位置付けと必要性能 顧客が望むもの⇒材料、製品、提供機能~
- 『QMS / QSR』に学ぶ開発設計の基本技術 (1)
~デザインインプットから、デザイン、デザインアウトプット、バリデーションまで~
- 『医療における開発設計の基本的作法』
~GLP、GCP、GMP (QMS) 、GVP、GMSP~
- 具体的開発設計~製品化プロセスに見る材料選定
~どの段階で材料を決める?~
- 新材料はよい材料か?
~使用実績と信頼性~
- 新材料展開の基本戦略
~リスクの高さを踏まえ、展開分野、展開方法を組む~
- 医療基礎動向と注目分野・動向・材料
- 医療の基本動向
- 人口動態と患者動向
- 医療費と医療経済の動向
- 医療機関の動向
- 医療機関効率化圧力
- DPC
- 医療費削減圧力
- 医療機関の設置制限
- 患者受領制限
- 初診料・紹介
- かかりつけ
- 注目分野とその例
- 医療効率化要求
- 感染抑制
- 癒着防止
- 低侵襲
- 省力化
- 生体吸収
- 医療安全要求
- 非磁性
- X線防御
- 抗菌化
- 抗アレルギー
- ターゲティング
- DDS
- 情報化要求
- RFID
- センシング
- 発信機能
- 記憶読出
- 通信連携
- 低環境負荷要求
- 在宅化関連要求
- 新分野要求
- 再生医療
- その他
- 注目材料の例とその例
- 生体吸収性材料
- 生体吸収性ポリマー・金属・セラミクス
- ポリマーの金属代替
- PEEKなど
- 非磁性金属
- TiTaなど
- 未来に向って
- 『医療機器は他分野より難しくない』
~難しいと思えるのは、高度成長以降、ゼロベースの製品開発が少なくなったから~
- 『薬事法は難しくない』道路交通法と同じ
~法律で制約を受けない事業はどこにもありません~
- 『材料の医療展開・医療貢献とPL・リスク回避の力量は、企業の技術力、インテリジェンス、経営者能力の高さの証明』実例あり
- 経営『材料技術を如何に事業価値に転換』
~材料、加工部品、製品⇒事業価値も大きく違うが必要経営資源も異なる~
- 患者を病魔から救うのは医師の力、患者を救う、医療従事者や、医療システムを救うのは、企業人の役割⇒そのご褒美が利益