回転機械では、内蔵されたモータやエンジンなどの回転部が振動源となり、機械の性能が十分に発揮されなかったり、静粛な環境を妨げたりする例が多く見られます。そのような振動の発生メカニズムを解明して振動対策を講じるには、回転体力学の基礎知識が必須です。 本講義では、最初に、最も基本的で簡単な回転軸系 (ジェフコットロータ) を対象として、回転軸のたわみ振動と傾き振動、回転軸系の固有角振動数、ジャイロ作用、不つりあい応答について解説します。つぎに、回転機械に発生する強制振動の事例を紹介し、それらの振動の発生メカニズムについて解説します。さらに振動対策として、回転体の釣合せ (バランシング) の方法について解説します。また、現場での振動監視の際にはロータの振動が計測されますが、計測されたデータをどのように解釈するか、あるいはそれらを処理して有用な情報を取り出す方法について解説します。例題を用いて、計測データの周波数分析において注意すべき点、および波形データ処理の回転軸系への応用について解説します。