第1部 『核酸医薬品開発の現状・課題・規制動向と安全性評価』
(2017年6月29日 12:45~14:30)
アンチセンス、siRNA、アプタマーに代表される核酸医薬品は、抗体医薬品に続く次世代医薬品として注目を集めている。現在、製薬業界では創薬シーズの枯渇が大きな問題となっているが、核酸医薬品は従来の低分子医薬品や抗体医薬品では標的にできなかった分子をターゲットにできる点において魅力的である。これまで核酸医薬品は生体内における安定性等の問題が指摘されていたが、修飾核酸技術やキャリア開発が著しく進展し、有望な候補品が次々と開発されている。核酸医薬品はひとつのプラットフォームが完成すれば短期間のうちに新薬が誕生すると考えられており、この数年で承認申請に至る候補品が増加すると予想されている。
以上のように開発が大きく進展している核酸医薬品であるが、開発の指針となるガイドラインは国内外で存在しておらず、規制当局が個別に対応しているのが現状である。この背景から、ガイドラインの策定、品質/安全性を評価する試験法の確立、審査指針の根拠となる実験データの創出など、開発環境を整備するレギュラトリーサイエンス研究の重要性が指摘されている。
このような背景を踏まえ、本セミナーでは核酸医薬品の基礎、研究開発の現状、現在の抱えている課題を概説し、核酸医薬品の規制に関連する国内外の動きを整理する。
- 核酸医薬品とは
- 核酸医薬品の分類
- 核酸医薬品の特徴
- 修飾型核酸の開発
- 核酸医薬品開発の現状
- アンチセンス
- Gapmer型アンチセンス
- スプライシング制御型アンチセンス
- miRNA阻害型アンチセンス
- siRNA
- アプタマー
- その他の核酸医薬品
- 核酸医薬品開発に関する情報収集
- 核酸医薬品開発の課題
- 核酸医薬品の規制に関する動き
- ヒューマンサイエンス財団 規制動向調査報告書
- 製薬協・基礎研究部会
- 厚労省研究、AMED研究
- 日本核酸医薬学会
- 核酸医薬レギュラトリーサイエンスコンソーシアム
- 核酸医薬品のレギュラトリーサイエンス研究 – 安全性評価に関する検討 -
第2部 『核酸医薬品の製造と品質・物性評価』
(2017年6月29日 14:45~16:30)
核酸医薬品は世界で承認薬として5品目を数え、さらに臨床後期の候補化合物も増加していることからいよいよ実用段階に入っている。本講演では、核酸医薬品の製造方法を概説するとともに、各段階で求められる品質を踏まえた物性評価について現状を紹介するとともに、今後の議論となる話題を提供したい。
- 核酸医薬品の開発状況
(核酸医薬品の製造)
- 核酸医薬品の合成方法
- 核酸医薬品の精製方法
- 核酸医薬品の製剤化
- 強力な新しい液相合成法、AJIPHASE®技術
- 核酸医薬品の機能強化を目指したリガンド結合
- 主要原料の評価方法
- 工程管理方法
- 純度評価方法
- 質量解析
- 確認試験法としての配列解析法
- FIM試験に向けた規格試験
- 非臨床試験に用いられる被験物質の規格
- 核酸医薬品のサプライチェーン (核酸医薬品の原料サプライヤー、核酸医薬品の受託製造社)
(核酸医薬品の技術革新に向けた取り組み)
- 核酸医薬品の開発方向性
- 新しい修飾核酸とその効果
- 長鎖RNAの合成とそのアプリケーション
- miRNAに関するアプローチ
- 免疫賦活化核酸の革新
- まとめ
遺伝子治療にはin vivo遺伝子治療とex vivo遺伝子治療という2つのカテゴリーがあり、用いられるベクターも異なる。
本講座では、代表的な遺伝子治療用ベクターの紹介と適応疾患、カルタヘナ対応から始め、ベクターの品質設計や非臨床安全性試験、 (早期) 臨床試験デザイン等、承認申請を見据えた製品開発を進めていく上で考慮すべきポイントについて述べる。
- 遺伝子治療概説
- in vivo遺伝子治療とex vivo遺伝子治療
- 代表的なベクターと適用疾患
- カルタヘナ法とその対応
- カルタヘナ法制定の経緯と概略
- PMDAによる開発支援
- 旧確認申請と薬事戦略相談
- 技術的ガイダンス
- ベクターの品質
- 品質設計の基本的考え方
- 生物由来原料基準
- セルバンク、ウイルスバンク
- 無菌試験とマイコプラズマ否定試験
- 製造工程由来不純物
- 非臨床安全性試験
- 非臨床安全性試験の基本的考え方
- 一般毒性試験のポイント
- 造腫瘍性試験のポイント
- GLP対応
- 臨床試験
- エンドポイント設定と試験デザイン
- 用量設定
- ケーススタディ
- in vivo遺伝子治療の例
- ex vivo遺伝子治療の例