2011年5月24日「粒子・粉体表面への機能性ナノコーティング」
粉体は様々な産業に利用されている。また、それらの分野での製品の機能性を向上させるために粉体への表面処理が多くなされている。しかし、粉体への表面処理は粉体のバルクの性質に加えて粒子の性質と表面の性質があるために、とても複雑で扱い難いものである。
表面処理を行うためには、まず粉体の性質を知る必要があり、本講ではまず一般的な粉体の粒子の性質と表面の性質を述べ、その後に一般的な表面処理について述べる。
最後に、粉体のあるがままの表面の触媒活性を利用したモノマーの重合によるナノコーティングと、それに機能性基を導入した「機能性ナノコーティング」について述べる。
- 粉体とは何か
- 粉体の粒子的性質
- 粉体の表面の性質
- 吸着
- 表面積、細孔分布
- 表面水酸基
- 電荷、等電点、
- 濡れ
- 表面反応
- 粉体の触媒活性
- 触媒作用とは
- 固体酸、固体塩基
- 指示薬法を用いた固体酸・塩基の評価法
- モデル反応を利用した固体酸・塩基の評価法
- 酸化、還元
- 光触媒
- 粉体の表面処理
- 表面を変化させる方法
- プラズマ処理
- メカノケミカル処理
- 表面官能基との直接反応
- エステル化
- カップリング剤による反応
- 自己組織化 など
- 表面へ他物質を被覆する方法
- めっき法
- 沈殿法
- コーティング
- ポリマー処理
- カプセル化法
- シリコーン処理
- フッ素系ポリマー処理
- 物理気相蒸着 (PVD)
- 化学気相蒸着 (CVD)
- 機能性ナノコーティング
- 粉体の触媒活性によるモノマーの重合
- プロピレンオキシドの重合
- スチレンの重合
- ジメチルシロキサンの重合
- 環状メチルシロキサンによるナノコーティング
- コーティング方法
- ナノコーティングされた粉体のキャラクタリゼーション
- ナノ薄膜の生成機構
- ナノコーティングされた粉体の親水・疎水性
- ナノコーティングされた粉体の触媒活性
- ナノコーティングされた粉体の酸化および結晶転移
- 焼成による複合酸化物生成
- コーティング膜へのペンダント基の付加
- アルキル基の付加
- アルコール性水酸基の付加
- イオン交換基の付加
- 機能性ナノコーティングの応用
- 化粧品への応用
- 塗料への応用
- 高速液体クロマトグラフィーへの応用
2011年5月25日「ナノコーティング粒子の表面・界面評価」
機能性ナノコーティング粒子の開発を進める上で、粒子の表面・界面特性評価は非常に重要となります。しかしながら、これまでその評価方法は FT-IRやXPSで代表されるような分光学的な手法に限定され、液中での評価方法はあまり開発されて来ませんでした。
したがって分光学的評価を行っても塗布工程など湿式プロセス制御に活かせるような実用的情報は得られ難いという側面がございました。その理由は、粒子表面は物理的にも化学的にも一様なものはあまりなく、ほとんどのそれが不均一であるがためです。
そこで実用的にも有効である手法として、電位差滴定法、多検体遠心沈降分析法、NMR溶媒緩和法など最新の評価手法を取り上げ、その原理と特徴を紹介致します。
- 粒子/溶媒界面特性
- 粒子の表面特性にはどのようなものがあるか?
- 吸着と吸着等温線
- 濡れ性 (親溶媒性) と酸塩基特性
- 液中粒子の界面電気化学的特性
- ゼータ電位とは?
- 表面電荷との違いは何? -
- 電荷零点・等電点・等酸点の違いは何?
- 種々のゼータ電位測定法
- 応用分野と適応機種の選び方のポイント -
- 実用系 (粒子濃厚系) のゼータ電位測定
- 超音波法の特徴 (電気泳動法とどこが違うの?) -
- 液中粒子の酸・塩基特性評価法
- 粒子表面の酸・塩基特性評価法と表面電荷の評価法
- ナノ粒子表面の酸・塩基特性 – H+の授受をどう捉えるか?
- 酸でもあり電荷でもあり -
- 酸・塩基特性評価法 (電位差滴定法) を活用した高感度品質管理法
- 具体例を用いて -
- 粉体の濡れ性 (親溶媒性) の支配因子と種々の評価手法
- 多検体遠心沈降法を用いた粉体の表面特性評価
- 多検体遠心沈降法の概要
- 多検体遠心沈降法による評価例
- NMR溶媒緩和法を用いた粉体の表面特性評価
- パルスNMR溶媒緩和法を用いた湿式比表面積測定
- パルスNMR溶媒緩和法を用いた微粒子/溶媒界面状態評価