ガス吸着・脱着の現象を基礎とするガス吸着測定法は、物質のナノスケールの細孔構造を平均的に評価する上で優れた方法であるため、粉体や多孔体などの細孔パラメータ (比表面積など) を得るための測定法としてはなくてはならない手法である。近年ナノマテリアルの応用が盛んになっているが、その微細構造を評価する上でガス吸着測定技術は重要であり、また基礎を把握することで、ナノマテリアルの応用技術の展開を図ることができるであろう。
また、天然ガスや水素などクリーンエネルギーの貯蔵や、地球温暖化ガスであるCO2の分離回収を実行するためには、ガス吸着の原理を理解する必要がある。
本セミナーでは、そのような基礎と応用を理解するために、わかりやすく解説する。
- 吸着・脱着現象のいろいろ
- 物理吸着・脱着、化学吸着・脱着、吸収、吸蔵
- 可逆性と脱着機構
- 応用分野における脱着特性の重要性
- 細孔体の種類
- ゼオライト系、炭素系、ナノ細孔性配位高分子
- ナノ細孔体の特徴
- 細孔の分類
- 界面構造と機能
- 材料としての性質
- キャラクタリゼーション方法
- 分子間相互作用と分子吸着ポテンシャル場
- 蒸気と超臨界気体
- 分散相互作用
- レナード・ジョーンズポテンシャル
- 吸着等温線・脱着等温線の型
- 気体吸着実験法と解析
- 容量法吸着装置
- 重量法吸着装置
- 平坦表面への吸着
- 吸着理論
- BET理論
- メソ孔への吸着
- 毛管凝縮
- 吸着・脱着ヒステリシス
- ケルビン式
- 細孔分布解析:吸着ブランチと脱着ブランチ
- ミクロ孔への吸着
- スリット型細孔へのミクロポアフィリング
- DR解析
- ミクロ細孔解析 DFT法 問題点
- 二酸化炭素吸着 水素吸着
- 蒸気吸着と超臨界吸着
- 高圧吸着
- 高圧ヘリウム浮力法による試料密度測定
- 表面過剰量と絶対吸着量
- メタン吸着
- カーボンナノホーン
- ナノ細孔性配位高分子
- ゲート現象:脱着特性の優位性
- 水素吸着
- 活性炭素繊維
- カーボンナノチューブ
- カーボンナノホーン
- 最近の動向
- 測定上の問題点
- 二酸化炭素分離技術
- 活性炭素繊維
- ナノ細孔性配位高分子
- 固体型CO2分離材
- その他の応用分野
- 吸着ヒートポンプ
- ナノカーボンの構造と電気化学的応用
- 同位体分離
- まとめ