精度の良い図面は生産性を高め、製品の品質向上やコストダウンにも繋がります。その半面、設計ミスは、たとえ1つであっても、複数の部品の作り直しに繋がったり、設計のやり直しを迫られたりと、会社や顧客に大きな損害を与えます。全ての設計者はミスの無い正確な図面を書くことを目指していると思いますが、なかなか100%の図面を一度で仕上げることは出来ません。
ミスの無い図面に仕上げる為には、何度も検図作業を行い、図面ミスを一つ一つ潰していく必要があります。しかし、検図について書かれている書籍は少なく、検図について学ぶ機会も少ないため、多くの設計会社では経験を積んだ設計者だけが検図を一手に引き受けていて、経験豊富な設計者の力が生かされていないのが現状です。担当設計者は上司が最終検図を行うので多少のミスがあってもかまわないと考えるのは間違った考え方です。製図者自身が自分の書いた図面をチェックし自信を持って完璧な図面を提出し最終検図を受けることで、経験豊富な設計士の力が発揮される機会が増え、さらに良い品質を作り込む機会が増える。これが正しい理解です。
各設計者が共通した検図のチェックポイントを持つことにより、客観性を確保し、検図に割かれる時間を短縮しつつ、検図漏れを極力減らせることに繋がります。
本講座では、検図の基本的概念・チェックシートの必要性・作り方、運用方法を実際に使われているチェックシートや設計図を盛り込んだ講義資料を使い解説します。本講座を通して、チェックシートの有効性を理解し、図面ミスを極力減らせる検図方法を学んでいただけると思います。
- 検図における基本的概念
- 検図の重要性と目的
- 図面ミスの種類と原因・防止策
- 検図に必要な知識 (設計方法を知っているだけでは図面は完成できない)
- もっとも大切なのは、セルフチェック
- “合っている”と思わず、“間違っている”と思いながら チェックする
- チェックリストは 検図の必須アイテム
- チェックリストを作る目的 (チェックリストの役割)
- 検図をするタイミング
- チェックリストは自前が基本
- 単純・簡単・明快なリストが一番
- チェックリストを使っての検図は、効率的に図面のミスを発見できる
- チェックリストを作るうえで、『良い設問』『必要ない設問』を見極めよう
- より効果的な検図が出来るチェック項目
- 現場と同じ目線で考えるチェックリストの作り方
(物が造れない図面は、図面とは呼べない)
- 検図の為のチェックシートの作り方と運用方法 (チェックリストのPDCA)
- PLAN (計画・作成) : 検図で何をチェックするべきか (ミスが起きる要因と防止策)
チェックリストは図面種類ごとに分類作成し適切なチェックリストを使用し
効率的な検図ができるよう計画をする。
- 『うっかりミス』が発生する要因、それを防ぐチェック項目
- 『仕様の見落とし』が発生する要因、それを防ぐチェック項目部品干渉
- 『部品干渉』が発生する要因、それを防ぐチェック項目
- 『寸法/幾何公差』間違いが発生する要因、それを防ぐチェック項目
- 『購入部品』『材料選定』間違いが発生する要因、それを防ぐチェック項目
- 『形状不備』『組付不良』が発生する要因、それを防ぐチェック項目
- DO (実行) : チェックシートの運用テクニック
- チェックリストは図面と一緒に廻す。できる限り多くの人の目に触れるように、チェックのダブりをなくし、効率よく
- CHECK (確認): ミスが発生した履歴を残そう
- CHECK (確認): チェックリストで標準化を進めよう
- ACT (改善) : チェックリストの効果を検証しよう (再発防止のための改善)
- チェックシートの有効活用法
- チェックシートの上手な使い方手順、記入例説明
- 自信を持ってミスの無い図面を提出しよう
- 検図漏れが見つかった場合の対応
- 《演習》実際にチェックシートを使ってみよう
- サンプル図でチェックリストを使用した検図体験
検図結果 答え合わせ