あらゆる市場が成熟期に突入した中で、各社様とも新事業、新市場への参入を試みていらっしゃいます。既存市場、既存技術 (とその組み合わせ) のビジネスとは異なり、製品担当者も営業・マーケティング担当者も過去の経験則の延長や個人的成功法則の域だけでは上手くいきません。やはり体系だったセオリーに則した意思決定や行動原則が求められます。 とはいえ、マーケティングや戦略のセオリーとは、知ってさえすれば成功を保証するものではありません。むしろ、知らなかった場合には確実に失敗、もしくは相当な無駄骨を折ることになるもの、と言えるでしょう。世間で知られている、メディア等でも評論対象になった上手く行かなかった新製品、新事業とは、何かしら「戦略上、あってはならない」ステップを不幸にも踏んでいる場合がほとんどです。 もっとも、今まで学問界で語られてきた様々な戦略論、マーケティング論も、決して全てが当たっていた、使えたわけではありません。「高尚だが現場では使えない所謂“MBA理論”」なるものは確かに数多く存在します。 本講義で紹介するのは、机上の空論を嫌う起業家たちが「これについては実践で使える、確かにその通りだった」と支持賛同したセオリーの数々です。これらに共通するのは、成功失敗事例の結果から統計的に言えたことを体系化した、という点です。結果が既に証明していますから外れが少ないのです。そして残念ながら、知る人ぞ知る、確度が高いこれらの法則がメディアや学術界に大々的に取り上げられることは、あまりありません。