2軸押出機で分散を図る場合、ほとんどの場合最大粒子径が、最良条件でもミクロンサイズになる。 (ミクロン分散) 一方、最大粒子径が0.1ミクロンを条件とするナノ分散は特殊な技術、装置でしか実現できない。 (ナノ分散) その中間領域の1ミクロン以下0.1ミクロン以上の領域を特別にサブミクロン分散分野と呼ぶが、今、この領域の実現が大きな課題である。
単なる2軸押出機では実現できない。最大の手法は分散性に均一性を十分実現すれば、可能になる。均一性を実現する技術を付加する必要がある。それらの付加技術全体を展望し、すでに完成した技術および今後われわれが実現しなくてはならない技術を紹介する。完成もしくはほぼできつつある技術であるので、実用化すれば大きな戦力になることは間違いない。
従来の2軸押出機に、「送り込み分配分散」を精度よく実現すれば、サブミクロン分散が可能になる。無機フィラー分散では、「スラリー分散技術」を用いればサブミクロン~ナノ分散に入ったあたりが実現できる。ポリマーアロイ分散では「伸長流動分散技術」を用いれば、サブミクロン~ナノ分散に入ったあたりが実現できる。
こうした技術は最近発達してきた新しい技術である。もう従来技術水準の2軸押出機にしがみつくことはない。一方分散品質を予測できる技術も確立できる時代になり、混練、分散技術分野が大きく展開してきている。これらの新しい技術の展望を詳細に説明する。
- 2軸押出機のせん断作用特性、その他
- コンパウンド、ポリマーアロイ製造に2軸押出機が主流になった背景
- 応用せん断速度 (応力) 領域特性の拡大
- 高噛合化、高速化、高トルク化、高L/D化がもたらした応用技術
- 2軸押出機応用技術の今後の方向性を推測する
- 凝集粒子解砕特性
- 凝集粒子の破壊力は、凝集次数と凝集粒子径の関数として解析できる
- 理想的分散理論
- 回転粒子分散理論
(マッケルビーの2粒子分割理論以降とび抜けた分散理論がない中での理論)
- せん断分散と異なる伸長流動分散技術応用への目途が立ちつつある現状
(より均一分散、高品質をトライする選択)
- フィラーのせん断分散性解析の最近の傾向
- これまでの研究・開発では「破砕分散」に重点を置き過ぎた
- もっと均一分散性に注力しなければならない
- 究極の目標に、ナノ分散達成がある
- 「分配分散」を詳細に検証する
- 分配分散の2面性「送り込み分配分散」と「まき散らし分配分散」がある
- 「破砕分散品質到達点」前後の分配分散性の違いと実際
- 橋爪の5段階分散モデルとパームグレンの4段階分散モデルの比較
- 「送り込み分配分散」・・せん断破砕分散と同居する
- どういう役目か、どのようにコントロール、評価するのか
- ブリスターリング、リングセグメント, 絞り機構の応用、T関数の応用
- リングセグメント、絞りには、伸長流動分散効果の副次効果がある
- 伸長流動分散の均一性が今後大きな分野に発展する可能性がある
- 米国のベーン押出機、伸長流動セグメント、ダイ方式など分散機構3分類
- せん断流動、伸長流動の共存流動における分散性
- HMWPEがHDPE中で分散できる (相対粘度≧100でも分散が可能)
- メルトフラクチャを送り込み分配分散に応用する新しい考え方と実際
- 「まき散らし分配分散」 … 単独で作用する
- どういう役目か、どのようにコントロール、評価するのか
- ギヤエレメントなど … 欧米の方式
- CTM, スタティックミキサーなど … 日本の方式
- ナノ分散コンポジットの強度向上はバウンドポリマーが要因である
ナノ分散ポリマーアロイの強度向上は粒子相互の応力拡散が要因である
- 材料の機械強度が向上する現象解明
- コンパウンドの場合
- ポリマーアロイの場合
- 従来のナノ分散実現技術以外に、最近の技術トピックス
- メルトソリューション法
- 現在はグラフェンの完全分散に特下しているが、今後応用材料範囲が広がる
- リビング重合法において、流動相の高分子の末端に吸着性官能を導入し、無機ナノ粒子単体の表面を修飾する方法
- フィラーの分散品質が精度よく予測できる時代に入った
- 従来の相似側は役に立たない分散現象では相似実験ができないという悩み
- 分散品質の事前予測技術
- 時間無制約分散パラメータの応用
- 品質方程式の作成方法
- 分散品質予測精度の確認
- 完全解析事例の紹介
- 質疑応答