第1部 自動車における電磁波ノイズの発生要因と対策
(2017年6月23日 11:00〜12:30)
自動運転車や電気自動車には数多くのパワーエレクトロニクスやセンサー、ワイヤレス通信システムが使われるようになる。これによって発生する電磁波ノイズ・EMI/EMCの課題が深刻化し、短期間、低コストで効率良く対策する技術が望まれている。
そのためには電磁波ノイズの基本的な性質やその根本的な発生メカニズムを理解することが最も有効だと考え、本講演では電磁波の基礎・基本から出発し、従来のガソリン車やEV、将来の自動運転車などに共通する電磁波ノイズの根本的な発生メカニズムと対策を俯瞰し、ノイズ源特定のノーハウなどを解説する。
- 現在の自動車技術の変革とそれに伴う電磁波ノイズの変遷
- 発生源の変遷 ・伝搬経路の複雑化
- 被妨害システムの変遷
- アンテナと電磁波ノイズの基礎
- モノポール/ダイポール、ループアンテナの基礎
- 多線条伝送線路理論の基礎
- 電磁波ノイズの分類
- コモンモードノイズの発生メカニズム
- 周波数の不変性と周波数帯域ごとの電磁波ノイズの発生や伝搬メカニズムの違い
- 共振によるEMIの発生メカニズムと対策
- 共振が問題になる理由
- 共振と立ち上がり・立下り時間の関係
- 半導体デバイスが関与している場合の共振
- 無反射終端による対策
- パワエレにおける電磁波ノイズの発生メカニズムと対策
- ネットワークアナライザを使った伝導ノイズの評価
- 金属筐体が電磁波ノイズに与える影響
- 放射ノイズを低減するためのパワエレの筐体設計指針
第2部 自動車用電子機器、回路基板のEMC対策としてのグラウンドやシールドの取扱いについて
(2017年6月23日 13:10〜14:40)
●講師 株式会社 クオルテック EMC技術研究室 室長 前野 剛 氏
車載電磁環境に関する基礎知識を始めとし、雑音電流の入出力の少ない機器設計を行うための回路基板パターン設計からその基板の取り扱い方法や実車搭載に至るまで、電気・電子機器のEMC設計のポイントについて総合的に学んでいただきます。
- 車載電気・電子システムの将来動向および課題
- 車載電気・電子システムのEMC性能確保における考え方と取り組み方
- 車載電気・電子システムの実車搭載状況と機器設計の課題
- 車載電気・電子システムから出る雑音の種類
- システム思考とコンポーネント思考によるEMC問題への取り組み
- 雑音電流の流入出の少ない電気・電子機器の設計
- 雑音電流の流入出の少ない機器にするには
- 機器からのディファレンシャルモード雑音電流の流出低減事例と考察
- 回路基板パターンにおける近端クロストークと遠端クロストークの要因
- 電磁誘導結合と容量結合とグラウンドバウンスについての考察
- 回路基板における配線間クロストークの低減策
- 回路基板を流れる雑音電流の可視化
- 電磁エネルギー伝播の目でみた回路基板パターンの物理的考察
- 実車搭載にあたっての対EMC設計
- ワイヤハーネスを含む機器の接地方法と課題
- 機器からのコモンモード雑音電流流入出の低減事例
- 近隣雑音源からの妨害の低減事例と考察
- 対雑音性を考慮した配線材の考察
- EMC課題への組織的な取り組み
第3部 電磁波吸収ゴムシートの設計とEMCの設計例
(自動車衝突防止レーダモジュール筐体内不要結合の抑制等)
(2017年6月23日 1:00〜16:30)
従来のノイズ抑制シート等の電磁波吸収ゴムシートは、EMC対策として使用されてきたが対策部品であり、設計段階からの参入は困難である。そこで、電磁波吸収シートの設計と、EMC問題を設計段階から使用できるように高周波モジュール(自動車衝突防止レーダ)を例にとり、理論設計を行い、シートの設計部品と化を行った事例を解説する。
- 電波吸収・ノイズ抑制ゴムシートの製造と基礎特性の把握
- 軟磁性金属粉末の箔片化処理
- 複合材料のμr、εrの把握
- 同軸短絡法によるμrの測定
- 粒子含有量、粒子形状・配向、粒子径の複合材料特性への影響
- 導波管Sパラメータ法による異方性定数の測定
- 電波吸収・ノイズ抑制ゴムシートのEMC対策
- 高周波 (例、自動車衝突防止レーダ) 筐体内不要結合抑制の最適設計と実例
- (例えば、準ミリ波、ミリ波) 電子機器筐体内カップリング抑制の最適設計
- 回路基板 (マイクロストリップ線路) 上に貼付したコモンモードノイズの抑制効果の測定と解析
- トロイダル型ローパスフィルター効果
- ゴムシートの各種適用事例
第4部 磁性材料を用いた、電波吸収材、電磁干渉抑制材、フレキシブルフェライトシートとその応用
(2017年6月23日 13:50〜15:20)
ノイズ対策は、様々な手法がある。対策するためにはノイズ源の特定と対策のアプローチが重要である。本講では、磁性材を用いた対策部材のメカニズムと、その対策事例について紹介する。
- ノイズのモードと対策原理
- ノイズ源の特定と伝導モード
- ノイズ対策の考え方
- ノイズ対策と電磁気学
- 磁性材を用いた対策部材とその応用
- フェライトコア
- 磁性材とコイル複合部品
- 電波吸収材及び電磁波干渉抑制材
- フレキシブルフェライトシート
第5部 カーボンマイクロコイルを用いた 電磁波吸収体の 特徴と電波吸収特性の評価用
(2017年6月23日 13:50〜15:20)
カーボンマイクロコイル (CMC) は、既存素材・材料には見られないDNAと同じ3D – ヘリカル/ラセン構造を示し、この特異構造から発現される特異的・高度の電磁気的・機械的・生物学的・化学的特性を有しているので、次世代型の革新的新素材として非常に注目されており、電磁波 (特にマイクロ波) 吸収材、電磁波可視化材、マイクロ波発熱材など、幅広い分野への応用が期待されている。
本講ではCMCの電磁波吸収特性 (GHz帯域のマイクロ波) と応用例を紹介する。
- CMCと他の新炭素系ナノ材料との違い
- CMCの合成法・形態・微細構造
- 気相合成法
- 形態と成長メカニズム
- 微細構造
- CMCの基本特性
- 電磁気的特性
- 機械的作性
- 熱的特性
- センサ特性
- 化学的特性
- CMCの医学的特性
- CMCの電磁気的特性
- CMC/樹脂複合材の作製法
- CMC/樹脂複合材の電磁気的特性
- CMC/樹脂複合材の電磁波吸収特性
- CMCの応用
- 電磁波吸収材
- 電磁波可視化材
- マイクロ波発熱材
- 触覚・近接センサ
第6部 【セミナー + 車載機器EMC試験施設見学会】
自動車EMC規格の規制状況と車載機器EMC試験の最新動向
(2017年6月23日 13:50〜15:20)
自動車の電子化が急速に進み、走行制御、情報通信等に使用され、電気・電子機器間のワイヤハーネスが自動車に配線され、干渉による妨害が起きやすい状況である。ハイブリッド車や電気自動車では多くの電気・電子部品が搭載され、自動車の安全走行するため厳しいEMC試験が要求されており、この数年で規格の改定が加速化している。本セミナーでは規格改定があった規格の変更点をメインに自動車EMC規格の規制と車載機器EMC試験の最新動向を、車載機器EMC試験施設の見学を交えながら説明する。
- はじめに : KEC概要説明 (正岡氏)
- 自動車EMC規格 (杉本氏)
- 自動車EMC規格の体系
- 国際規格の内容 (CISPR、ISO規格)
- 車載機器EMC試験
- CISPR25
- イミュニティ試験
- ISO11452シリーズ
- ISO7637シリーズ
- ISO10605
- 現在の規格の審議状況
- 試験施設の見学
- 名刺交換会
- 質疑応答
- 個別相談
- 現地解散