(2017年5月31日 10:00〜11:30)
1981年に保険診療上、インスリン製剤とヒト成長ホルモン製剤の在宅自己注射が認められた。当時はガラスバイアル製剤を皮下投与用のシリンジにその都度分注し投与する必要がある上、一般市民からの認知度も低く、自己注射には常に負のイメージが存在していた。しかしその後、ペン型のカートリッジ式注射器が導入され、特殊な世界をイメージさせていた自己注射も徐々にその様子が変化した。特にインスリン製剤はデバイスへ様々な工夫が加えられ、自己注射器は大きな進化を遂げた。さらに追随し、数多くのプレフィルドシリンジ製剤が発売され、医療現場での有効性が確立された。しかしその反面、注射器であるという共通の外観が各製剤間の識別性を低下させ、メディケーションエラーの温床ともなっている。 そこで本講では、在宅自己注射の現状とそこで使用されている注射製剤の包装形態に着目し、今後の望まれるデバイスの方向性について考えたい。
(2017年5月31日 12:15〜13:45)
自己注射は様々な分野の治療の選択肢として拡大している。糖尿病患者では小児から高齢者まで、様々な年齢において、学校や職場、家庭、介護現場など様々な生活状況のなかで施行されていて、生命をつなぐ手段として重要である。また、関節リウマチにおいては、有効な治療手段として手に障害を持つ患者や、高齢者においても使用されている。これらの分野以外でも、ホルモン治療など使用数が少ない分野でも、医薬品としての重要性は大きい。一方、使用について、年代別研究や分野別調査など大規模な患者調査などが難しいことから、問題点が把握されていないことも考えられる。 このような中で、患者の自己注射使用に対する選択願望、使用経過における考慮する点、医療従事者の対応状況、外来診療では把握できない危機管理項目などについて、現状や報告などから検討してみる。また、今後のデバイス開発や調査研究の必要性などについても考察してみる。
(2017年5月31日 14:00〜15:30)
これから在宅医療が増加するうえで、如何にアドヒアランスを向上させるか、そして自己注射のデバイスを工夫して少しでもストレスなく投与していただくか検討する時期にきている。そして、国レベルの問題になっている残薬を解決する為に、薬剤師が何を考え、どう実行していくかを伝えたい。また、ポリファーマシー (多剤投与) 対策も忘れてはならない。病院薬剤師は、患者と共に考え、保険調剤薬剤師へシームレスな連携をしなければならない。
(2017年5月31日 15:45〜17:15)
2016年4月より費用対効果評価の試行的導入が始まりましたが、今後の新規医薬品の薬価交渉戦略においてはこうした動向を意識した考え方を取り入れる必要があると考えられます。 本講座では医療経済的観点からみた自己注射製剤の価値評価のポイントを、試行的導入に関する中医協におけるこれまでの討議や最新の費用対効果評価方法の紹介も織り交ぜながら、わかりやすく解説します。