医薬品の薬効や副作用評価に関係する臨床試験の評価には統計的な知識を持つことが不可欠である。しかし、「統計学」は数学を基礎とする難解な学問であり分かりにくいと敬遠する人が多い。さらに、現在ではPC上でも多くの本格的なの統計プログラムが利用可能であるが、初心者には内容がブラックボックス化しており適切な検定方法の選択や結果の解釈に自信を持てないとの声も聞く。
今回は、統計の初心者と苦手な方のために医薬統計の技術よりも、むしろ考え方を中心に統計を理解する入門講座を企画した。
- なぜ臨床試験には統計的な考え方が必要か
- 効果の評価につきまとうBiasを考える:無作為化への道
- 対照群としてのプラセボと標準薬をもう一度考える
- 実験計画と統計処理
- 並行群間比較の良さとクロスオーバー試験の良さ
- 統計的な考え方
- まず記述統計用語から:代表値とバラツキ
- 偶然と必然
- 平均値の統計検定法を考える
- まずは2群の検定から:t 検定
- 検定の多重性の問題
- 多群の比較:分散分析
- 統計検定法と区間推定法を考える
- 信頼区間とは
- 検定法で言えることと、信頼区間で言えること
- 群間の優位性、同等性、非劣性の考え方
- まず統計的なエラーを考える (第一種のエラーと第二種のエラー)
- 検出力アプローチ
- 信頼区間で非劣性を考える
- ノンパラメトリックな統計を考える
- 順位和検定は何を検定しているのか
- その他の方法
- まれだが重大な副作用の統計的考え方
- ポアソン分布に基づく考え方
- 臨床試験での重大事象のゼロ観測を解釈する