今後のICTの発達は、ある意味既存のクルマ技術や産業に対し、多くの点で脅威となる。
特に、2010年頃から世界規模で話題になった自動運転の発展はICTの指数関数的発達に牽引され、ここ数年でその実現性が急激に高まってきた。特に、過去2年のクラウドやIoT、さらにはDeep Learningの発達により、これまで予測されてきた所謂レベル4の完全自動運転 (Self – Driving) の実現時期が海外では前倒しされている。実際、欧米で代表的な複数のクルマ会社やインターネット系企業が2020年前後での市場導入を表明している。
その背景となる過去2年間に於ける技術と欧米各国政府の政策等の急激な変化を解説し、今後10~20年にいかなるパラダイムシフトがクルマ産業に起こり、クルマの技術開発や事業体制に影響を及ぼし得るのか、その対策を含め概説する。
- 自動運転とは?
- 自動運転の本質
- ヒトの大脳の代わりにコンピュータのソフトウエアが運転する
- 自動運転市場が拡大する必然性
- 自動運転の開発に向けた海外の視点
- 日本企業を揺るがすNHTSA (米国連邦運輸局) の新たな定義
- それに乗って活発化する欧米企業
- 自動運転の実現に向けた課題
- レベル3の発展と実現困難性
- 見えてきたレベル4の実現性
- 自動運転の作り方: 見える世界と見えない世界
- 見える世界への対応
- センサー・フュージョン
- 走行アルゴリズム (ブレイン・コンピューティング)
- 見えない世界への対応
- グローバル・データセンター及びVehicle IoTの導入
- 3次元地図の重要性と走行アルゴリズムの関係
- 車載ICT/IoTの実装とデータセンター/クラウドとの関係
- コネクテッド・ビークルの発展
- ADASから自動運転への発展
- クルマを核としたサービス事業の可能性 (ロボットタクシー等)
- 更に新事業開拓の可能性
- 人工知能とは?
- 人工知能の概要
- ICTの発展とテクノロジー・シンギュラリティ
- 人工知能と脳神経科学のシンクロニシティ
- 一般市場における人工知能利用の状況
- 自動運転に必要な人工知能
- 画像・オブジェクト認識の発展
- 深層強化学習と走行アルゴリズムの生成
- 自動運転への人工知能導入の課題
- 今の日本に圧倒的に足りないもの
- ネットワーク・セキュリティ
- プライバシー
- 倫理と意識 (トロッコ問題等)
- 今後の展望とまとめ
- シェアリングエコノミーの発達とクルマのソフトウエア開発体制の変化
- 今後10~20年に激変する産業構造とその変化への対策