アトピー性皮膚炎における最新メカニズムと臨床ニーズ

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プログラム

第1部. アトピー性皮膚炎における最新メカニズムと治療薬開発

(2017年5月16日 10:30〜12:30)

 皮膚は外界と生体の仕切りとなるバリア器官であり,表皮は細胞分裂と細胞死で構成される恒常性で制御されている.アトピー性皮膚炎は,皮膚の恒常性の破綻によるバリア機能の傷害や細菌などの外界からの刺激が発症に関与してする疾患である。  本講演ではマウスモデルを用い、皮膚恒常性のメカニズムをオミクス的観点から理解することにより、新しい治療薬開発へと繋げる。

  1. アトピー性皮膚炎 (AD) は,増悪・寛解をくり返す,?痒のある湿疹を主病変とする疾患である。
  2. Th2 サイトカインの関与が考えられるため、患者の多くはIgE抗体を産生しやすい。
  3. ヒトにおいてSTAT3 は,高IgE 症候群 (ジョブズ症候群) の原因遺伝子として同定され、STAT3 の皮膚特異的欠損マウスはAD 様皮膚炎病態を誘導する。
  4. 皮膚での遺伝子発現を経時的にRNA シークエンス法により解析
  5. RNA シークエンス法により得られた23000 遺伝子の経時的発現データをもとに,週齢ごとにコ
    ントロールのデータと対応付けして二群間比較 (edgeR) による正規化と検定をおこなった。
  6. 得られた遺伝子の発現変化のパターンを基盤に,発症群で発現が低下する遺伝子群 (572 遺伝子) ,STAT3 欠損により発現が上昇する遺伝子群 (311 遺伝子) 、発症群で発現が上昇する遺伝子群 (1181 遺伝子) の3 つに分類。
  7. STAT3 欠損では,アブノーマルな角層造成が幼少期に起こっていた
  8. 皮膚炎の発症には,バリアに影響を及ぼす1stスイッチに加えて,直接発症の起点となる2ndスイッチの存在が必要となる。
  9. 1stスイッチは、STAT3 欠損で規定されており、皮膚炎をおこす環境作りに寄与する。
  10. 2ndスイッチは、,NFκB とTh2 反応を活性化することで皮膚炎発症に繋がる。
  11. 発症するマウスでは黄色ブドウ球菌の増殖が認められた。

第2部. アトピー性皮膚炎治療薬開発でのモデルマウス作成と薬効評価

(2017年5月16日 13:15〜14:45)

 アトピー性皮膚炎の治療の多くはステロイド、カルシニューリン阻害剤などの外用剤によってなされているが、いまだ重篤な痒みに悩まされる患者は少なくない.本講では、アトピー性皮膚炎治療薬開発に携わった経験から、掻痒評価を含めた皮膚炎モデル動物の選定及び作成方法、評価方法について各モデルの特徴と合わせて解説する。

  1. アトピー性皮膚炎治療薬開発に向けた概論
    1. 臨床症状
    2. 疫学
    3. 病態
    4. 現在の治療方法など
  2. 各種皮膚炎モデルの作成及び評価方法
    1. 遅延型過敏性皮膚炎モデル (ハプテン誘発)
    2. 慢性皮膚炎症モデル (ハプテン誘発)
    3. NC/Nga皮膚炎モデル
      • ハプテン誘発
      • ダニ抗原誘発
    4. NC/Nga掻痒モデル (ハプテン誘発)
    5. 機械的刺激誘発皮膚炎モデル
  3. かゆみ治療薬の開発に向けて
    1. かゆみの基礎
    2. かゆみ治療薬開発状況
    3. 慢性?痒/かゆみ過敏のメカニズム
    4. かゆみの動物評価モデル
  4. 各疾患モデルの臨床上の位置づけ

第3部. アトピー性皮膚炎治療の現状と治療薬へのニーズ

(2017年5月16日 15:00〜16:30)

  1. アトピー性皮膚炎と好発年齢や発症要因
  2. アトピー性皮膚炎におけるバリア機能の異常
  3. アトピー性皮膚炎のかゆみに伴うストレス
  4. アトピー性皮膚炎の標準治療
  5. 慢性で難治性のアトピー性皮膚炎に対する治療戦略
  6. 今後アトピー性皮膚炎の治療薬として期待されるもの

会場

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141-0031 東京都 品川区 西五反田2-29-5
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