本セミナーでは、刺激応答性ハイドロゲルについて安定化・形状維持・吸収制御の課題を克服し、実用化につなげるポイントを詳解いたします。
(2017年5月19日 10:00〜11:30)
生体内で架橋可能なゲル”in situ架橋ハイドロゲル“は、様々な材料が報告されている。骨格ポリマーとして、多糖類、タンパク質、PEGなどの合成高分子などが用いることが可能である。架橋反応としては、生体直行性反応や光化学反応、イオン架橋、酵素反応など多岐に渡った反応が利用できる。 骨格ポリマーと架橋反応の組み合わせで、医療用途に応じた様々なハイドロゲルが設計できる。さらに投与法として、ダブルシリンジ、スプレーなどが選択され、モノづくりのプロセッシングの観点から、コーティングによる薄膜化、インクジェットなどによる3次元構造制御、紡糸によるファイバー化、微粒子開発などへの応用展開も期待されている。 腹腔鏡や内視鏡などと連動させ、非侵襲的に局所薬物徐放・創傷被覆材・止血材・癒着防止材・塞栓療法・組織再生などを行うことが期待でき、高い生体適合性から細胞を用いた再生医療への応用も期待されている。
(2017年5月19日 12:15〜13:45)
癒着防止材としてヒアルロン酸とカルボキシメチルセルロースをベースとするフィルム状のものが広く使用されている。 我々は、フィルム状のものよりも、より扱いやすい癒着防止材として、水溶液として塗布した後に目的部位表面でヒドロゲルを形成するヒアルロン酸をベースとする材料について開発、検討を行っている。 このヒドロゲル形成に関する詳細や応用、癒着防止材としての性能などに関して紹介する。
(2017年5月19日 14:00〜15:30)
ハイドロゲルには生体内吸収性と非吸収性が存在する。 吸収性として生分解性多糖類とポリ乳酸系ハイドロゲルの調整とその医療応用、 並びに、生体内非吸収性として高強度・高透明ポリビニルアルコールハイドロゲルの調整とその医療用途について実例を挙げて述べる。
(2017年5月19日 15:45〜17:15)
ハイドロゲルの形成には、ネットワーク化した分散剤 (主として繊維状構造) の存在が不可欠である。近年、分子量が数百のゲル化剤とよばれる低分子化合物を構成成分とする超分子ハイドロゲルと呼ばれる比較的新しいタイプのハイドロゲルに関する研究が活発に行われている。超分子ヒドロゲルの内部には、ゲル化剤分子が自己集合によって形成されるナノファイバーのネットワーク構造が存在する。このような超分子ハイドロゲルは、ゲル化剤分子を設計することで多様な機能を引き出せる可能性がある。 講演者らは、超分子ハイドルゲルに刺激に応答する機能を付与する目的で、ゲル化剤分子に化学反応性部位を導入する研究を進めている。本講座では、超分子ハイドロゲルに対して、バイオマーカーを含む生体分子に応答して溶ける刺激応答機能を付与する講演者らの研究成果を中心にその最先端の研究状況をご紹介する。