多くの産業において、加熱冷却による加工・製造、品質管理における温度制御、熱エネルギーの有効利用など、様々な面で熱移動に関する知識が必要になっています。 一般の現場では、熱が移動する「伝熱現象」として、熱伝導、対流熱伝達、放射という基本的に3つの伝熱形態が複雑に起こり、場合によっては沸騰や凝縮などの相変化も生じます。熱設計や熱対策を行う場合には、まず対象における基本的な伝熱メカニズムを検討し、論理的な分析ができることが重要です。その際、現象を大枠で理解し、伝熱現象をなるべく簡素化して、ただし影響が大きな事項を取りこぼさずモデル化し、おおよその熱移動量等を推定することが工学的には有用です。数値熱流体解析ソフトを用いる場合においても、基礎的な理解ができていなければ、与える条件や結果の適否を正しく判断することは困難となります。 本セミナーでは、熱の移動現象や熱システムを理解することを目的とし、熱力学の基礎事項を確認した後、熱伝導、対流熱伝達、放射伝熱の三形態の熱移動機構や簡単な熱移動量の計算方法について学びます。また、沸騰や凝縮など相変化を伴う熱の移動についても現象を理解します。なお,理解しやすいように、所々で身近な熱移動現象も例にあげながら話を進めます。 さらに、実際の温度制御や熱対策等で重要となる温度計測について、各種計測法の特徴や作動原理、使用する上での留意点を説明して,正確な温度測定のための知識を得ます。