本セミナーでは、高分子材料を日々扱っている実務者に役立つ試験法、評価方法を具体的な活用事例を交えて解説いたします。
高分子を用いた部品開発について、先行開発段階・試作段階・量産段階など、各段階での注意すべき項目をその要因と発現機構に基づき概説する。 耐久性には、耐環境特性と耐応力特性があるが、耐環境特性としての耐候性、耐熱性、耐水性、耐薬品性の評価方法とその解析方法を説明する。熱挙動については、粘弾性挙動より領域分割しArrhenius PlotによるRTI (Relative Thermal Index) など解析方法を示す。また、耐水性については含水挙動と加水分解反応を、耐薬品性についてはその評価方法を示す。更に、これらの主要因である分子量の測定評価方法を紹介する。 耐応力特性については、実用例を示しながら開発実務者に有用な手法を提案する。具体的には、耐クリープ性能を樹脂特性からの解析方法 (Zhurkovの破壊過程の速度式) と、部品設計法とその改良方法を事例に基づいて説明する。疲労特性については、ヒステリシスの有無による破壊機構が異なること、自動車分野に活用されるヒートサイクル試験への活用と改善手法を紹介する。摩擦磨耗特性については、摺動機構による分類とその機構、更には活用事例として歯車の設計法を紹介する。更に、これら故障発生時の現場での評価方法として、破面観察による原因究明手法を詳細に説明する。近年、非破壊での樹脂内部のダメージを評価する方法 (X線CT、超音波探査、軟X線透観察) も需要が高まっている。これら、高分子材料を日々扱っている実務者に役立つ試験法、評価方法を具体的な活用事例を交えて解説する。特に、耐応力物性の管理方法を示し、高分子特性を考慮した上での注意点を示す。 今後の技術動向として、解析法 (薬液浸透予測法、軽量化設計) を、加工法 (レザリッジ、アドバサーモなど) を紹介する。解析法の浸透予測法は、複数の薬液の混合物の場合の特殊な浸透挙動について機構解明と定量的な予測法を示す。特にバイオフューエルを事例として、高分子膨潤平衡のモデルを使いFlory – Hugginsの式を解く方法を紹介する。練成解析は、弊社が開発した軽量化するための部品設計技術である。部品の軽量化には現在まで具体的な方法はなく、経験的に肉抜き、穴あけなどを行い実用試験での検証を行うというリスクとコストのかかる方法が行われている。我々は、位相差解析、流動解析、構造解析を組み合わせて徐々に軽量化設計を行う設計手法を紹介し論理的な手法提案を行っている。現在は金属に特有な特性 (電気・熱伝導、剛性など) と樹脂特性 (軽量性、容易な加工性、電気・熱絶縁性など) を組み合わせた部品が提案されている。但し、一般的には薬液エッチングなど多工程によるコストアップ、信頼性の低下により、市場への普及されていないのが現状である。レザリッジRは、金属にレーザー加工を施すことにより、簡便な方法で金属と樹脂の密着させる新規技術である。これらについて気密性を含め各種物性を紹介する。アドバサーモRは射出成形の金型表面を断熱加工することにより、様々な特性を発現させることができる加工法による物性改善手法である。これらについて高分子物性を基に発現機構を紹介する。